連日補助金の情報が立て続けに入ってきていますね。今回は事業再構築補助金の後継とされ、今年度から新設された新事業進出補助金の第1回公募が公開されましたのでポイントを解説します。
この補助金は、ウィズコロナ・アフターコロナを乗り越え、企業が高付加価値な新事業へ進出することを支援するために新たに作られたもので、制度設計の中には賃上げを前提とした内容も含まれています。今回は概要から申請要件、スケジュールなどを詳しく整理してみていきましょう。
リンク先:新事業進出補助金_特設ウェブサイト
リンク先:新事業進出補助金_第1回公募要領
概要とスケジュール
新事業進出補助金は事業再構築補助金の後継であることは冒頭に触れた通りですが、特に新たな事業への本格進出を推進するための新制度になります。他の多くの補助金と異なるポイントとして、建物費が補助対象経費になっていることが挙げられます。建物費は中堅中小成長投資補助金や成長加速化補助金でも対象にはなっていますが、投資額が1億円以上が必要であるなど規模が大きすぎることがあります。一方、新事業進出補助金は750万円からの投資額になるので、より多くの事業者様が活用しやすいのが特徴です。
説明会も実施されますので申請を考えている事業者様は申し込みを検討してください。(先着5,000名)
実施日時 : 2025年4月30日(水)14:00 ~ 15:00
実施方法 : Zoom(ウェビナー形式)
リンク先:中小企業新事業進出事業_概要説明会
スケジュールは以下の通りです。受付開始日は公募開始時点でまだ未定ですので、ホームページなどを適宜チェックし、発表されたら速やかに手続きを開始できるよう準備を進めましょう。
また、スケジュールのポイントとして交付申請締切日が採択発表日から2カ月以内に設けられている点があります。採択発表から速やかに交付申請を行う必要があり、期限に間に合わないと採択取消となりますので注意が必要です。
公募開始 :2025年4月22日(火)
申請受付期間:2025年6月中旬頃(予定)~2025年7月10日(木)18時
採択結果発表:2025年10月頃(予定)
補助対象事業の要件
新事業進出補助金は中小企業が新たな挑戦をする後押しをしてくれる制度です。一方で、補助金の活用にあたっては多数の要件が設定されており、全てを見ていくと難しく感じてしまうと思います。ここでは主な要件の概要を整理しましたので、自社が取り組むことに問題なさそうか、申請に支障はないか確認してもらえればと思います。詳細については必ず公募要領を確認し、漏れなく手続きをするようお願いします。
「新事業」「新市場・高付加価値事業」とは
前項で触れた通り、新事業進出補助金には新事業や新市場・高付加価値事業に進出することが要件となっています。では新事業や新市場・高付加価値事業とはどのようなことを指すのか、事務局から解説が出ていますので内容を見てみましょう。
「新事業」
「新事業」とは、中小企業が既存の事業領域から新たな製品やサービス、市場へと進出する取り組みを指します。本補助金では、①製品等の新規性、②市場の新規性、③新事業売上高の3要件をすべて満たす必要があります。
まず「製品等の新規性」とは、申請企業にとって過去に製造・提供した実績のない新たな製品やサービスであることが必要になります。つまり、単なる製造量の増加や小改良、組み合わせでは該当しないので注意が必要です。
次に、「市場の新規性」は既存の顧客層とは異なる新たなニーズや属性を持つ顧客層を対象とする市場である必要があります。例えば、単に商圏を広げるだけでは新規性とは認められないのでこちらも注意が必要です。
3つ目の「新事業売上高要件」については、計画最終年度において新事業の売上高が全体の10%以上(または付加価値額で15%以上)になることが必要です。
詳細については事務局からの補足説明資料をご確認ください。
リンク先:新事業進出指針の手引
「新市場・高付加価値事業」
「新市場・高付加価値事業」とは、新規事業の社会的な新規性や高い付加価値の創出が求められるものとされており、新事業進出補助金の審査に関する記述が多数あることからも、非常に重要な指標であることが分かります。こちらも概要を見ていきましょう。
まず「新市場性」とは、取り組む新製品やサービスのジャンル・分野が、社会においてまだ普及・認知が進んでいないということを指します。この項目では「高精密」「小型」「高所得層向け」など性能・顧客層・地域性といった属性ではなく、純粋にジャンル・分野として新規性があるかどうかを見られます。その際には、統計や客観的データにより社会的認知度の低さを裏付ける客観的なデータや統計などを示す必要があり、なかなか難易度が高いものとなっています。
次に「高付加価値性」とは、同ジャンル内における既存製品と比較して、自社の新製品が高価格帯・高機能などで明確な差別化を実現しているかが重要になります。そのためには、業界の標準的な価格・価値との比較、そして自社の強みや差別化の源泉を分析し、それが妥当なのかどうかを分かりやすく示す必要があります。
上記2つのどちらかを満たすことで補助対象として認められます。まず新市場性が審査され、新市場でないと判断された場合に高付加価値事業であるかどうかを見られる、という流れになります。
こちらも詳細は事務局からの補足説明資料をご確認ください。
リンク先:新市場・高付加価値事業とは
本気の挑戦に応えてくれる補助金
今年度新しく出た新事業進出補助金は、単に「新しいことをやりたい」ではなく具体的な市場分析や設備投資の客観的な裏付けや、補助事業を実行できる組織体制をしっかり作ることが求められます。新事業進出補助金は事業再構築補助金の後継ではありますが、生き残りのための支援ではなく事業拡大や成長意欲のある企業を国としても積極的に支援し、競争力を強化することや持続的な経営に繋げること、従業員へ還元すること、という現状維持にとどまらず急激な変化の中でも成長をしていくことを想定した制度です。本気度が試される制度にはなりますが、ぜひ補助金の活用を通じて計画的に設備投資や事業拡大を実現していきましょう。
社会保険労務士法人プラットワークスでは、多数の企業様に補助金や助成金の支援を行っていることや、自ら補助金や助成金の採択・通過した実績を踏まえ、皆さまの支援をいたします。まずはご相談からでもお気軽にお問合せください。
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