11次公募要領が公開!事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)について中小企業診断士が分かりやすく解説

各種補助金の情報がどんどん出始めて佳境に入ってきていますが、今回は事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用枠)の11次公募要領が公開されました。
この補助金は、中小企業や個人事業主が行うM&A等において専門家の活用費用や廃業費用等を支援するもので、2024年度は中小企業生産性革命推進事業の一環として実施されてきた「事業承継・引継ぎ補助金」を、今年度は「事業承継・M&A補助金」として新たな名称で登場したものになります。今回は前回の10次からの変更点も含め、内容を見ていきたいと思います。

事業承継・M&A補助金ホームページ

事業承継・M&A補助金_11次公募要領

概要とスケジュール

まずは改めて事業承継・M&A補助金の全体像を確認します。事業承継・M&A補助金は4つの支援枠が設定され、事業者の状況に応じた支援ができるようになっています。ポイントとしては、PMI推進枠が新設されたことや、補助上限が引き上げられたこと等、支援が拡充されたことが分かります。日本全体もそうですし、経営者も高齢化している中で後継者問題を抱える企業も多いことから、国としても事業承継に力を入れていきたいという想いがみてとれます。
経済産業省、中小企業庁、助成金、業務改善助成金、100億宣言、100億、売上高100億円、100億円、人材不足、シナジー、小規模事業者持続化補助金、インボイス、賃上げ、中堅・中小成長投資補助金、大規模成長投資補助金、ものづくり補助金、補助金、事業拡大、M&A、事業承継、M&A、事業承継・M&A補助金、設備投資、生産性、人手不足、中小企業成長加速化補助金、成長、加速、売上高100億円を目指す宣言、省力化、中小企業省力化補助金、クラウド、システム、セキュリティ、中小企業、事業拡大、中小企業診断士、社会保険労務士

スケジュールは以下の通りです。GW明けから慌ただしい申請になることが予想されますが、早めのgBizIDプライム取得や必要書類の事前準備を進めていきましょう。特に、FA契約(※)やDD実施体制の整備は時間がかかると思いますので、どのように進めていくか前倒しで計画することをおススメします。
※FA=ファイナンシャルアドバイザー:M&A(企業の合併・買収)や事業承継などの取引において、財務・法務・戦略面などの専門的な助言を提供する専門家
公募開始  :2025年4月18日(金)
申請受付開始:2025年5月9日(金)~2025年6月6日(金)17:00 ※厳守
補助事業期間:2025年7月(上旬予定)から約12ヶ月間を想定。詳細は、採択後の交付申請時の手引書等で確認すること。

10次公募との比較とポイント

事業承継・M&A補助金は、名称が変わっただけでなく内容も大きく変わりました。今回は専門家活用枠について10次公募との違いを確認していきます。特にDDの実施が必須になったことからも「本気で取り組むM&Aを支援する」という国の姿勢が強く表れているのが印象的です。
経済産業省、中小企業庁、助成金、業務改善助成金、100億宣言、100億、売上高100億円、100億円、人材不足、シナジー、小規模事業者持続化補助金、インボイス、賃上げ、中堅・中小成長投資補助金、大規模成長投資補助金、ものづくり補助金、補助金、事業拡大、M&A、事業承継、M&A、事業承継・M&A補助金、設備投資、生産性、人手不足、中小企業成長加速化補助金、成長、加速、売上高100億円を目指す宣言、省力化、中小企業省力化補助金、クラウド、システム、セキュリティ、中小企業、事業拡大、中小企業診断士、社会保険労務士
ポイント①:補助対象期間が約1年に延長

第10次公募では、交付決定から完了まで約3か月と非常にタイトなスケジュールでした。これに対し、11次公募では実質1年間の補助事業期間が設定され、M&Aプロセスにおける交渉・契約・クロージング等について余裕を持った進行が可能になりました。

ポイント②:デューデリジェンス(DD)費用の上乗せ加算が追加
10次公募では廃業費の上乗せ加算のみでしたが、11次公募ではDD費用の上乗せが最大200万円まで追加となりました。DDは基本的に専門家が入りますし、その範囲も財務・法務・人事労務など様々です。費用の相場も専門家や会社により異なりますが100万円からスタートすることも珍しくありません。それだけのコストがかかることからも今回別枠で上乗せ加算が追加されたのだと思われます。

ポイント③:買い手支援型の要件にデューデリジェンス(DD)の実施が追加
これまで実施推奨とされていたDDが、第11次では申請・補助金受給の前提として必須項目となりました。これにより、制度としての実効性とM&Aの透明性が一段と強化されています。上乗せ加算と同様に、DDはM&A成立前のリスク把握やPMI(統合プロセス)成功に不可欠とされていますので、ここを重点強化したいのだろうと思います。補助金は税金ですし、適切な事業に使われたかを確認する必要があります。また、PMI(統合後の経営統合)が上手くいくようにコストと時間をかけてでもやるべきだと判断したと考えられます。

申請の流れと加点項目

公募要領では、申請前の準備や電子申請システム「jGrants」の活用など手続きの流れについても記載されていますのでしっかり確認しておきましょう。また、審査においては加点項目を活用することで採択の可能性を高めることができます。補助金の審査では数点の差で採択されるかどうかが決まることもありますので、取れそうな加点項目があれば積極的に狙っていきましょう。ここでは申請に向けたステップと加点項目について整理します。

<申請の流れ>
申請の流れは以下のようになります。基本的な申請から補助金受領までの流れは他の補助金と大きくは変わりませんが、補助事業期間終了後も3年間は事務局の指示する方法で事業化状況報告を行う必要がありますので注意が必要です。
経済産業省、中小企業庁、助成金、業務改善助成金、100億宣言、100億、売上高100億円、100億円、人材不足、シナジー、小規模事業者持続化補助金、インボイス、賃上げ、中堅・中小成長投資補助金、大規模成長投資補助金、ものづくり補助金、補助金、事業拡大、M&A、事業承継、M&A、事業承継・M&A補助金、設備投資、生産性、人手不足、中小企業成長加速化補助金、成長、加速、売上高100億円を目指す宣言、省力化、中小企業省力化補助金、クラウド、システム、セキュリティ、中小企業、事業拡大、中小企業診断士、社会保険労務士

 

<加点項目>
(1) 「中小企業の会計に関する基本要領」又は「中小企業の会計に関する指針」の適用を受けていること。
(2) 公募申請時に有効な期間における「経営力向上計画」の認定、「経営革新計画」の承認又は「先端設備等導入計画」の認定書を受けていること。
(3) 公募申請時点で「地域未来牽引企業」であること。
(4) 公募申請時点で中小企業基本法等の小規模企業者であること。
(5) 公募申請時点で「(連携)事業継続力強化計画」の認定を受けていること。
(6) 公募申請時点で、ワーク・ライフ・バランス等の推進の取り組みを実施していること。具体的には、以下のいずれかに事業者として該当すること。
    ①:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者、もしくは従業員 100 人以下の事業者で「女性の活躍推進企業データベース」に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者
   ②:次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく「くるみん認定」を受けている事業者、もしくは従業員 100 人以下の事業者で「両立支援のひろば」に次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者
(7) 公募申請時点で「健康経営優良法人」であること。
(8) 公募申請時点で「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を利用する中小企業等であること。
(9) 以下を満たす賃上げを実施予定であり、従業員に表明していること。
   事業化状況報告時に、事業場内最低賃金+30円以上の賃上げ

事業承継からさらなる事業拡大へ

M&Aと聞くと「買収」や「投資」といったイメージが先行しがちですが、事業承継やM&Aは単なる事業の売買ではなく企業の理念や雇用を持続的に行うための手段の1つです。制度を適切に活用するには準備と専門家の支援が必要になりますので、この補助金はそのような取り組みを後押ししてくれる心強い制度になります。特に今回の第11次公募ではデューデリジェンスやPMIに関する支援が強化され、より活用しやすいものとなりました。他の補助金と同様に電子申請といった事務的な準備は必要にはなりますが、その手間以上に事業拡大や生産性向上といった大きな価値を生み出すチャンスでもあります。補助金を単なる資金の支援で終わらせるのではなく、持続可能な経営と従業員への還元に繋げてもらえれば幸いです。

社会保険労務士法人プラットワークスでは、多数の企業様に補助金や助成金の支援を行っていることや、自ら補助金や助成金の採択・通過した実績を踏まえ、皆さまの支援をいたします。また、M&Aに伴う人事労務デューデリジェンス(DD)や、買収後の統合プロセス(PMI)支援にも対応しており、労務リスクの洗い出しや、制度統合・組織再編における課題解決を得意としています。まずはご相談からでもお気軽にお問合せください。

<サービス:各種補助金>
助成金・補助金・給付金申請支援

組織再編支援

<関連コラム>
事業承継とM&Aの支援強化!2025年新設の事業承継・M&A補助金について中小企業診断士が分かりやすく解説
https://sr.platworks.jp/column/6783

新情報公開!小規模事業者持続化補助金17回について中小業診断士が分かりやすく解説
https://sr.platworks.jp/column/7937

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