令和6年度補正予算・令和7年度当初予算について、中小企業庁から中小企業や小規模事業者向けの内容が発表されました。今回その中でも事業再構築補助金の後継補助金と位置づけられ、新たに創設された「新事業進出補助金」から見えてくる政府の意図や今後予想される状況を解説いたします。
新事業進出補助金とは
新事業進出補助金とは、2025年度に創設される中小企業や小規模事業者向けの新たな支援制度です。この補助金は、環境変化の激しい中で成長を目指す企業が、新市場や新事業への挑戦や事業の転換を進める際の投資を支援することを目的としています。中小企業庁より予算規模は約1500億円程度と発表され、企業の成長・拡大に向けた新規性や賃金引上げなどの要件が予定されています。
事業再構築補助金との比較
新事業進出補助金は事業再構築補助金の後継の補助金とみられていますが、その内容の違いはどのような点にあるのか、現時点で公表されている3つの観点から見ていきましょう。
詳細はまだ発表されていないため細かい点についての比較はできませんが、特に目的と要件については現在の社会や経済環境を踏まえ大きく変わる可能性があります。背景等について次の項目以降で解説します。
新事業進出補助金の背景と政府の考え
事業再構築補助金は、企業が環境変化に迅速に適応できるよう支援することで、経済全体の回復力を高める意図がありました。特に、コロナ禍のような突発的な危機に対する備えを整え、事業再編や新分野進出を通じて産業の多様化を進めることを期待した補助金です。
一方で新事業進出補助金は、より長期的な視野で企業の成長を支援することを目的としています。中小企業の成長を後押しすることでイノベーションを促進し、新しい産業を育成することが狙いです。これにより、地域経済の活性化や雇用創出が期待され、将来の環境変化に対応できる経済の多様化にも寄与することを目指していると考えられます。
成長意欲のある企業とない企業の差が広がる
ポストコロナやウィズコロナ時代からさらに一歩進んで、現在は経済の成長を加速させることが新たな焦点となっています。事業再構築補助金は、かつての危機的状況に対応するため、企業が急速に変化する環境に適応するための支援策として提供されました。
特に、コロナ禍で経済的に打撃を受けた企業が、急激な環境変化に対応するため新しい事業への転換や新市場への進出を試みる際に必要な資金援助が行われた形です。このような支援は、企業の「回復」を促すことに主眼を置いていたと考えられます。
しかし、現在は新たな経済環境において、企業が「持続的かつ発展的な成長」を遂げることが求められる時代に突入しています。そこで登場したのが、新事業進出補助金です。これは、過去の危機から立ち直った企業が、更なる成長を目指して新しい事業分野への進出や事業転換を行うことを支援するための補助金です。これにより、単なる回復ではなく成長志向の企業を後押しし、より競争力のある経済の実現を目指しています。
こうした支援のシフトは、成長意欲のある企業とそうでない企業との間で、今後ますます事業拡大の速度に大きな差を生み出されることが予想されます。意欲的に成長を目指す企業は、新事業進出補助金を積極的に活用しイノベーションを推進することで、さらに発展することができるでしょう。一方で、現状維持にとどまる企業は、変化の波に乗り遅れ競争力を失っていく恐れがあります。結果として、企業間の格差は広がり経済全体に大きな影響を与えることになると推測できます。
急速な環境変化に対応するために今のうちから来年以降の成長に向けた計画を策定し、補助金を活用し設備投資や事業拡大を行うことで強い企業の基礎を創っていきましょう。
社会保険労務士法人プラットワークスでは、多数の企業様に補助金や助成金の支援を行っていることや、自ら補助金や助成金の採択・通過した実績を踏まえ、皆さまの支援をいたします。
また、2025年1月28日(火)に設備投資や事業拡大に向けた補助金を活用するための無料セミナーを実施しますので、ぜひご参加ください。
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