中小企業省力化投資補助事業(一般型)は、『人手不足解消に 効果のあるロボットや IoTなどの 製品や設備・システムを導入するための経費を国が補助することにより、中小企業の省力化投資を促進し売上 拡大や生産・業務プロセスの効率化を図るとともに、賃上げにつなげることを目的とした補助金(『中小企業省力化投資補助金(一般型)ご案内チラシ』より引用)』です。
3月31日に第1回が締め切りとなりましたが、早速第2回の公募が公開されましたので見ていきましょう。
概要とスケジュール
2025年度から新たにスタートした「省力化投資補助金」は、企業の業務効率化や人手不足の解消を支援する目的で導入された注目の制度です。この補助金は、「一般型」と「カタログ型」の2つのタイプに分かれており、企業のニーズに応じて選べる制度になっています。
その中でも「一般型」は前年までの「ものづくり補助金」のオーダーメイド型枠とほとんど同じ内容となっており、オーダーメイド枠の後継と言われています。特徴としては指定の設備から選ぶようなカタログ型とは異なり、自社独自の課題に応じた柔軟な設備投資が可能になるというところがポイントです。自社の業務や現場の実情に合わせた投資を検討している事業者様にとっては「一般型」の採択を狙って申請を進めていくことをおすすめします。
スケジュールは以下の通りです。
4月9日時点では具体的な日程が決まっていない状況ですが、間もなく公募・申請受付が開始されると思われるので準備を進めていきましょう。
公募開始 :2025年4月中旬(予定)
申請受付開始:2025年4月下旬
公募締切日 :2025年5月下旬
採択発表日 :2025年8月中旬(予定)
公募回は年3~4回を予定していると公表されていますので、第1回~第2回のペースを見ると第3回は7~8月、第4回は10~11月頃になるのではないかと思われます。
4つ基本要件
基本要件については以下の4つが主なポイントとなります。第1回の時に確認済みの事業者様は改めておさらいをしてください。
後述する省力化指数も同様ですが、数値計画のシミュレーションや目標数値の算出は指定様式の「事業計画書(その3)」を活用することをおススメします。最低限の要件を満たしつつ、補助事業を通じて目指すべきビジョンをもって計画することが必要です。
① 労働生産性
補助事業終了後5年間で毎年、申請時と比較して労働生産性を年平均成長率(CAGR)4.0%以上向上する計画を作り取り組む。
付加価値額や労働生産性の考え方は以下のようになります。
(付加価値額)=(営業利益)+(人件費)+(減価償却費)
(労働生産性)=(付加価値額)÷(従業員数)
(労働生産性の年平均成長率)=[{(効果報告時の労働生産性)÷(交付申請時の労働生産性)}^(事業者化状況報告回数)^-1-1]×100%
② 1人あたり給与支給総額または給与支給総額
1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、又は給与支給総額の年平均成長率を+2.0%以上増加させる
③ 最低賃金の引き上げ
事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準とする。
※なお、最低賃金関連については、加点や特例措置がありますので必要に応じて申請を検討ください。
・賃上げ加点 ⇒給与支給総額の年平均成長率4.0%以上増加する計画を有すること及び、
事業場内最低賃金を毎年3月に事業実施都道府県における最低賃金より+40円以上の水準を満たすこと
・補助上限、補助率の引上げ ⇒ 給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加及び、
事業場内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準 を満たすこと。
指定する一定期間において、地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いる月が3か月以上あること
※補助上限額は従業員数に応じて決定、補助率の引上げは中小企業のみ
④ 一般事業主行動計画の公表
従業員数21名以上の場合、交付申請時までに、「両立支援のひろば」に次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表する
基本要件と重要ポイントをまとめたものを以下に載せますのでご確認ください。
基本要件以外の4つの重要ポイント
省力化投資補助金には基本要件の他に「その他要件」として4つの重要なポイントが示されています。
(1) 省力化指数
業務削減割合を測る指標として「省力化指数」が示されています。これは簡単に言うと、設備を導入した結果どれだけ業務が効率化されたか、または時間が削減できたかを評価する指標であり、以下の計算式で算出します。
省力化指数=
[(設備導入により削減される業務に要していた時間)-(設備導入後に発生する業務に要する時間)] ÷(設備導入により削減される業務に要していた時間)
本指数に用いる「設備導入により削減される業務に要していた時間」には既存業務の削減業務の時間を組み込むことが基本である。
計算式を見てもイメージがしにくいと思いますので具体例を使って解説します。
・設備導入により削減される業務に要していた時間=新しい設備を導入したことで、既存の業務を進めるのにかかる時間がどれだけ減ったか、効率化された時間のこと。
・設備導入後に発生する業務に要する時間=新しい設備を導入したことで、新たにかかる時間や追加の作業(例えば、設備の操作や新たに発生する調整など)のこと。
<具体例>
現在かかっている既存作業の時間:月100時間
設備を導入した削減後の作業の時間:月70時間
設備を導入し新たに発生した作業にかかる時間:月10時間
省力化指数:(30-10)÷30 = 約0.67(67%の効率化を達成)
(2)事業計画上の投資回収期間を根拠資料とともに提出する。
※ 投資回収期間=「投資額/(削減工数×人件費単価+増加した付加価値額)」で計算される。
(3)3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して付加価値額が増加する事業計画を策定する。
(4)人手不足の解消に向けて、オーダーメイド設備等の導入等を行う事業計画を策定する。
省力化は単なるコスト削減ではなく事業拡大のキー
省力化補助金は公募回数の多さや今年度のスピード感を見ても、国が本気で生産性向上や人手不足対策に力を入れていることが伝わってきます。特に、人材確保については長年の課題でもありますし、省力化への投資は単なるコスト削減ということで捉えるのではなく、今いる戦力をベースに事業拡大をしていく重要な戦略としていくことが大切です。導入を検討されている事業者様は、今の流れをチャンスととらえて、早め早めの情報収集と準備を進めて差をつけていきましょう。
社会保険労務士法人プラットワークスでは、多数の企業様に補助金や助成金の支援を行っていることや、自ら補助金や助成金の採択・通過した実績を踏まえ、皆さまの支援をいたします。まずはご相談からでもお気軽にお問合せください。
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