最大600万円!変更点多数の業務改善助成金について中小企業診断士が分かりやすく解説

人手不足の深刻化や物価高騰、働き方改革の加速など、中小企業を取り巻く環境はますます厳しくなり、毎年のように対応しなければならないことも多くなっています。そうした中、企業の「生産性向上」と「従業員の賃金引上げ」の両方を支援してくれる心強い制度が、厚生労働省の「業務改善助成金」です。毎年人気のこの助成金がいよいよ令和7年度も出てきてくれました。例年通り活用しやすい内容であることに変わりはありませんが、新たな変更点がいくつか出てきていますので、今回は制度の概要から変更点まで注目ポイントを見ていきたいと思います。

業務改善助成金(厚生労働省ホームページ)

令和7年度業務改善助成金のご案内(リーフレット)

業務改善助成金の概要

業務改善助成金とは、事業場内最低賃金を30円以上引き上げ、かつ生産性向上に資する設備投資等を行った事業者に対して、その費用の一部を助成する制度です。
令和7年度は、以下のようなコース設定がされており、最大600万円の助成が受けられます​。※事業場規模が30人未満の事業であり、助成上限額が増額となる場合は赤字で記載しています。
なお、よくある質問として、業務改善助成金は事業場内最低賃金を引き上げることが要件の1つにあるため、1人親方で事業を営んでいる方は対象外となりますのでご注意ください。
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主な改正ポイント(令和6年度からの変更点)
今年度は令和6年度から様々な変更点があることも特徴ではありますが、特に助成率が最大9/10から4/5に変更になったことはインパクトが大きいと思います。元々9/10の助成率を取れるのは要件を満たす限られた事業者様だったとはいえ、毎年全国で賃上げを推進する中では、限られた財源で同じように運営することは難しいと判断したことや、最低賃金が低い特定の地域や事業者を優遇しすぎるようなことのないよう助成に対する公平性を意識したのではないかと考えられます。また、みなし大企業が対象外となったことは、より中小企業に集中して支援をするという意思の表れということが伝わってきます。

<改正ポイント>
① 申請上限額は事業主単位で600万円まで
  ※令和6年度も600万円までの助成金上限でしたが、「事業場ごと」の申請が前提であったため、同じ事業主でも異なる事業場で助成金が申請できる構成でした。それを令和7年度は改正し1事業主ごとに1回の申請が限度の形になった、ということになります。
② 基準となる事業場内最低賃金労働者の雇用期間が「3か月以上」から「6か月以上」に延長
 ※「一時的な雇用」や「短期的な調整」など、悪くいえば助成金狙いの雇用を排除し、安定的な雇用を促進したい狙いがあると考えられます。
③ 助成率は最大4/5(事業場内最低賃金が1,000円未満の場合)
④ 大企業と密接な関係を有する企業(みなし大企業)は対象外

申請期間

業務改善助成金の第1期申請期間が先日開始になりました。なお、業務改善助成金は申請期間だけでなく賃金引上げ期間も指定されていますので合わせて押さえておきましょう。各期日をしっかり守ることはもちろん、これらのスケジュールを正確に把握して余裕を持って準備を進めることが重要になります。経済産業省、中小企業庁、助成金、業務改善助成金、人材不足、シナジー、小規模事業者持続化補助金、インボイス、賃上げ、中堅・中小成長投資補助金、大規模成長投資補助金、ものづくり補助金、補助金、事業拡大、M&A、設備投資、生産性、人手不足、中小企業成長加速化補助金、成長、加速、売上高100億円を目指す宣言、省力化、中小企業省力化補助金、クラウド、システム、セキュリティ、中小企業、事業拡大、中小企業診断士、社会保険労務士

※第3期以降はHPで発表予定

申請から受給までの流れ

業務改善助成金は計画策定から各フェーズごとに手続きがありますので押さえておきましょう。交付決定になっても計画や申請内容に沿った事業をした後、その実績について審査がありますので注意が必要です。
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業務改善助成金が注目される理由

業務改善助成金は、活用しやすい制度として毎年非常に人気の助成金です。中小企業・小規模事業者にとっては、限られた資源の中で設備投資や人材育成を行うことは大きな負担に感じることが多いですが、本助成金を活用することで事業拡大と従業員の待遇向上の両立の可能性を高めることができるため、どのようなメリットがあるのか押さえておきましょう。

① 高額助成金と高い助成率
最大600万円、助成率は最大4/5(1,000円未満の賃金水準の場合)と、企業負担を大きく軽減できます。

② 「賃上げ」と「生産性向上」を同時に支援
賃金引き上げだけでなく、業務改善や事業拡大の設備投資にも使えるのが最大の魅力です。

③ 用途の幅広さと柔軟性
POSレジ導入、コンサルティング、人材育成など幅広い用途に対応可能です。
※特例事業者であればパソコン、スマホ、タブレット等の新規導入も可能

④ 比較的申請しやすい制度
補助金のような競争ではなく、要件を満たせば原則受給できる制度のため申請のハードルが低いため、精神的に申請しやすい特徴があります。

⑤ 長期的な経営基盤の強化に寄与
従業員の定着やモチベーション向上、採用競争力の強化につながります。

積極的な設備投資で事業拡大に繋げる

業務改善助成金は補助金と異なり、事前の準備を丁寧に進め要件を満たすことで助成金を受け取れる活用しやすい制度です。交付決定前の着手が対象外となる点や書類の準備など、限られた期間の中で速やかに対応しなくてはならないとはいえ、毎年人気の助成金であるということは、それだけ活用しやすく多くの事業者様の助けになっている制度ということが言えます。
令和7年度の業務改善助成金も、これまでと同様に設備投資や事業拡大に繫がる取り組みを支援する実効性の高い制度であることは間違いありません。積極的な設備投資を通じて事業の土台を強化し、将来的な事業拡大につなげる絶好の機会としてぜひ有効に活用してみてください。なお、申請代行手続きは社会保険労務士の独占業務であるため、手続きに不安がある方は専門家との連携も選択肢に入れて進めていきましょう。

社会保険労務士法人プラットワークスでは、多数の企業様に補助金や助成金の支援を行っていることや、自ら補助金や助成金の採択・通過した実績を踏まえ、皆さまの支援をいたします。まずはご相談からでもお気軽にお問合せください。

<サービス:各種補助金>
助成金・補助金・給付金申請支援


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