コラム

えるぼし認定とくるみん認定の違いとは?

少子高齢化により人材不足が深刻化しつつある現在、より一層女性が働きやすい職場環境の整備が重要な課題となっています。

このような雇用管理の改善に取り組む企業の認定制度である「えるぼし認定」「くるみん認定」

聞いたことはあるけれど、どう違うのだろう?

そう思われる方は意外と多いのではないでしょうか。実は、それぞれ土台となる法律と制定された背景が異なるのです。まず、それぞれの認定について制定された背景を見ていきましょう。

 

 

1.えるぼし認定

 <えるぼし認定制度が設けられた背景>

「えるぼし認定」は、女性活躍推進に取り組む状況を評価し、一定基準を満たした企業を厚生労働大臣が認定する制度です。そして、「女性活躍推進法」に基づき、女性の活躍を推進する企業の取り組みを推奨し、広く公表することも目的としています。

 

「女性活躍推進法」が生まれた背景に、少子高齢化による人材不足の問題、多様性のある人材確保が急務となっていることがあります。このような人材不足の問題に対応し、女性が働きやすく活躍できる社会づくりをしていくことが日本の労働生産性を高めるうえで不可欠といわれています。

女性活躍推進が掲げられるまでに、日本では関連する法律として1985年に「男女雇用機会均等法」、1991年に「育児休業法」、2003年に「次世代育成支援対策推進法」が制定され、男女の雇用機会の均等、仕事と育児の両立支援などが推し進められました。

しかし、2014年時点で雇用者に占める女性の半数以上が非正規雇用であること、出産・育児期に離職し、就業を希望しながら働けていない女性が315万人に達していること、管理職に占める女性の割合が国際的にも特に低い水準であることなど、依然として女性の働きやすい職場環境が整備されていないことが問題視されていました。

 

そして、第2次安倍政権下にて「日本再興戦略」が掲げられ、女性の活躍推進の取り組みを一過性に終わらせず、着実に前進させるための新たな総合的枠組みを検討し、2016年に働く女性の労働環境整備や労働力の確保を目的とし、国、地方公共団体、民間事業主の責務などを定めた「女性活躍推進法」が制定されました。

この「女性活躍推進法」に基づき、国、地方公共団体、従業員が301人以上の企業は女性活躍に関する状況把握、課題解決のための行動計画の届出・周知、情報の公表を行う義務を担います。

そして、「えるぼし認定」はこの「女性活躍推進法」に基づき、女性が仕事において能力を十分に発揮し、働きやすい環境を整備するために制定されました。

 ※認定マーク「えるぼし」認定は評価項目を満たす項目数に応じて種類が異なります

 

<えるぼし認定の認定基準>

「えるぼし認定」は、「女性活躍推進法」に基づき行動計画を策定し、届け出を行った企業のうち、以下の項目について評価され、認定を行います。従業員が101人以上の企業はこの計画の策定と届け出が義務化されています。

 

採用:女性の採用比率や管理職への昇進など、女性の採用と昇進の状況

継続就業: 女性社員の離職率や、育児休業の取得率、育児休業後の復職率など

労働時間などの働き方: 残業時間の管理や、短時間勤務制度の導入状況など

管理職比率: 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者との比率

多様なキャリアコースの整備: 女性が多様な働き方を選択できる制度の整備状況

 

<えるぼし認定取得のメリット>

「えるぼし認定」を行うことで女性活躍推進をアピールできるので、採用力を強化し、優秀な人材確保につながります。

社内にも周知することで、従業員の組織への信頼を高めて離職率低下にもつながります。

また、「えるぼし認定」の対象企業は、公共調達などにおける優遇措置を受けることができます。

 

2.くるみん認定

<くるみん認定制度が設けられた背景>

「くるみん認定」は、仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組み企業を一定基準で評価し、「次世代育成支援対策推進法」に基づき、厚生労働大臣が認定する制度です。

 

「くるみん認定」制度設立の背景には、日本の深刻な少子化や共働きの一般化などによる家庭環境の変化があります。

1990年の「1.57ショック」を契機に、出生率の低下と子供の数が減少傾向にあることを政府が強く認識したことに始まり、1994年に策定された「エンゼルプラン」を契機に、「新エンゼルプラン」、「仕事と子育ての両立支援等の方針」、「待機児童ゼロ作成」など国は少子化問題に対して様々な対応策を講じてきました。

しかし、この間も出生率の低下は止まりませんでした。そこで、政府が一体となり少子化対策を推進するため、少子化対策関連の立法化を初めて進めることとなりました。

 

その結果、2003年に少子化に対応し、次の社会を担う子どもたちが健やかに生まれ、育っていける社会を目指して、次世代育成支援対策に関して国、地方公共団体、事業主の責務を明らかにする「次世代育成支援対策推進法」が制定されました。

この「次世代育成支援対策推進法」に基づき、国、地方公共団体は地域の次世代育成支援対策を推進する義務を、従業員が101人以上の企業は労働者が仕事と子育てを両立できるよう、必要な雇用環境の整備を行う義務を担います。そして、「くるみん認定」はその法律に基づき制定されました。

 

<くるみん認定の認定基準>

「くるみん認定」「次世代育成支援対策推進法」に基づき行動計画を策定し、届出を行った企業のうち、以下の項目について評価され、認定を行います。なお、従業員が101人以上の企業はこの計画の策定と届出が義務化されています。

 

一般事業主行動計画の策定と実行: 行動計画を策定し、その計画を着実に実行すること

計画の目標達成: 行動計画に定めた目標を達成し、その実績が確認されること

育児休業等の実績: 育児休業の取得率、短時間勤務制度の利用率が一定水準を満たしているか

労働時間の短縮: 所定外労働時間の削減、育児休業からの復職支援策の整備

その他の支援策: 子育て支援のための各種制度が充実しているか

 ※認定マーク「くるみん」認定は評価項目の達成水準に応じて種類が異なります

 

また、様々な企業で社員が不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりに向けて取り組む動きが広がっており、そのひとつとして、20224月より「不妊治療と仕事との両立」に取り組む優良企業を認定する「くるみんプラス認定」制度が新設されました。

この認定制度を活用することで、子育てサポート企業だけでなく、不妊治療と仕事の両立をサポートできる企業としてアピールすることができます。

※「くるみんプラス」は「くるみん」「プラチナくるみん」「トライくるみん」取得済の企業が追加取得できます   

 

 

<くるみん認定取得のメリット>

「くるみん認定」を行うことで、子どものいる従業員が働きやすい企業であるアピールができるので、採用力を強化し、優秀な人材確保につながるだけでなく、ブランドイメージのアップにもなります。社内にも周知することで、従業員の組織への信頼を高めて離職率低下にもつながります。

また、「くるみん認定」を受けた場合、公共調達などにおける優遇措置などへの反映や、「くるみん助成金」「両立支援等助成金」などを受け取ることができる場合があります。

 

くるみん助成金の詳細はくるみん助成金ポータルサイトに記載されています。
くるみん助成金ポータルサイト - 中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業 (kuruminjosei.jp)

 

プラットワークスでは「えるぼし認定」、「くるみん認定」取得申請のご支援を積極的に行っております。
詳細は弊法人のサービス一覧をご参照ください。
えるぼし認定 - 社会保険労務士法人 プラットワークス - 東京都千代田区・大阪市北区の社労士法人 (platworks.jp)
くるみん認定 - 社会保険労務士法人 プラットワークス - 東京都千代田区・大阪市北区の社労士法人 (platworks.jp)

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