コラム

えるぼし認定・くるみん認定の項目ができるまで

前回のコラムで「えるぼし認定」と「くるみん認定」ができるまでの歴史と概要をそれぞれ土台となる法律と制定された背景から学んできました。

では、これらの認定項目はどのような基準で選出されたのでしょうか?土台となる「女性活躍推進法」「次世代育成支援対策推進法」成立時に労働政策審議会にて議論された内容から学んでいきましょう。

 

1.えるぼし認定

<「えるぼし」認定項目はどのようにできたのか>

「女性活躍推進法」が生まれるまでに、新たな法的枠組みの構築として、2014年より厚生労働省の労働政策審議会にて議論が始まりました。その中で「女性の活躍」とは一人ひとりの女性が個々の希望に応じて個性と能力を十分に発揮できることとしました。こういった「女性の活躍」推進が日本経済の持続的成長や社会の発展に寄与するという考えのもと、「女性の活躍」の推進にあたって生じている様々な阻害要因を取り除くことが必要であるとしました。そのために、各企業における自社の女性活躍の実態把握を行い、それに基づき課題を分析し、目標を設定することとなりました。

そして、その状態把握において、以下のような課題が見られ、それぞれに対応する「えるぼし認定」の基準項目が制定されました。

 

<女性活躍における課題と認定された基準5項目>

<えるぼし認定一覧>

                 ※厚生労働省 女性活躍推進法特集ページより

 

2.くるみん認定

<「くるみん」認定項目はどのようにできたのか>

20021月日本の将来推定人口が公表され、それにより少子化が一層進行する見通しが公表されました。それにより、同年5月に少子化対策に関する総理からの実効性のある対策を検討するよう厚生労働大臣に指示があり、それをきっかけに20033月に「次世代育成支援に関する当面の取組方針」の取りまとめが行われ、4月より労働政策審議会にて「仕事と家庭の両立支援対策」について議論が始まりました。

その際に課題としてあがったものが出産や育児を理由に離職する女性労働者の多さ、男性労働者の育児休業取得率の低さでした。2001年実施「第1回21世紀出生児縦断調査」によると、出産1年半後の女性労働者の半数が退職をしており、1999年実施「女性雇用管理基本調査」では男性はわずか0.5%の育児休業取得率でした。

 

                ※2001年「第1回21世紀出生時縦断調査」より

 

そこで「男性を含めた働き方の見直し、多様な働き方の実現」に加え、「仕事と子育ての両立の推進」として男性の育児休業取得率10%、女性の育児休業の取得率80%、子どもの看護のための休暇制度の普及率25%、小学校就学の始期までの勤務時間短縮等の措置の普及率25といった目標値を設定し取組みを行うとし、次世代育成支援対策について総合的な推進体制の整備とともに、具体的な個別施策も推進していく考えのもと、2003年に「次世代育成支援対策推進法」が成立しました。

このような目標値の設定と取り組みの評価のための認定項目の達成度合いの評価として「くるみん認定」が制定されたのです。

 

<くるみん認定基準の一覧>

 

3.えるぼし認定・くるみん認定を取得するメリット

では、「えるぼし認定」、「くるみん認定」を取得することでどんなメリットがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

 

<認定の表示>

「えるぼし認定」、「くるみん認定」を受けた事業主は、厚生労働大臣が定める認定マークを商品や事業主の広告、求人票などにつけることができ、女性活躍・子育てと仕事の両立支援の推進事業主であることをPRできます。それにより、採用を強化し優秀な人材確保や企業イメージの向上につなげることができます。

 

<公共調達及び補助金における優遇措置>

「えるぼし認定」、「くるみん認定」は公共調達における価格以外の調達の審査において、認定の区分に応じて加点評価されるため、公共調達を有利に受けることができます。また、「えるぼし認定」においては令和67月に政府は「公共工事」における加点措置をさらなる拡大を試みており、公共調達での「公共工事」分野のえるぼし認定の加点評価のさらなる活用促進を目指しています。

 

         ※えるぼし認定・くるみん認定の加点評価参考配点例(厚生労働省、都道府県労働局より)

 

さらに2023年より「えるぼし認定」、「くるみん認定」は経営事項審査においても加点対象となりました。建設業界においても働き方改革の推進・担い手の育成や確保につなげていくために、「えるぼし認定」「くるみん認定」はより注目されているのです。

 

<助成金の活用>

「くるみん認定」を取得すると「くるみん助成金」の受給、「両立支援等助成金」における支給額の加算などのメリットを享受することができます。

 

くるみん助成金

「くるみん認定」、「くるみんプラス認定」、「プラチナくるみん認定」、「プラチナくるみんプラス認定」取得の中小企業において、仕事と家庭の両立のために必要な雇用環境の整備を行う事業に対し最大50万円の助成金を支給します。

くるみん助成金の詳細はくるみん助成金ポータルサイトに記載されています。
くるみん助成金ポータルサイト - 中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業 (kuruminjosei.jp)

 

両立支援等助成金

不妊治療と仕事との両立に資する職場 環境の整備に取り組み、不妊治療のために利用可能な休暇制度や両立支援制度を労働者に利用させた中小企業事業主を支援する助成金です。

「くるみん認定」を取得することで助成金の支給額が加算されることがあります。

 

プラットワークスでは「えるぼし認定」、「くるみん認定」取得申請のご支援を積極的に行っております。
詳細は弊法人のサービス一覧をご参照ください。

えるぼし認定 - 社会保険労務士法人 プラットワークス - 東京都千代田区・大阪市北区の社労士法人 (platworks.jp)
くるみん認定 - 社会保険労務士法人 プラットワークス - 東京都千代田区・大阪市北区の社労士法人 (platworks.jp)

 

 

 

 

 

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