前回のコラムでは働きやすく、働きがいのある職場づくりに寄与する要素の一つである「心理的安全性の高め方」について学んできました。しかし、心理的安全性は高いほど好ましいというわけではないのです。心理的安全性のみを高めるだけの組織は「ぬるま湯組織」となってしまいます。「ぬるま湯組織」では以下のような弊害を起こしてしまう危険性があります。
「ぬるま湯組織」の弊害
①成長の停滞
新しいチャレンジ・改善をすることが少ないので、スキルアップや知識の向上機会が減る。
②モチベーションの低下
チャレンジングな目標がないため、メンバーは安定しすぎた環境に甘え、モチベーションの低下につながる。仕事への熱意や責任感も失われる。
③創造力の欠如
変化より現状維持を求める組織文化のため、新しいアイディアやイノベーションが生まれにくい。
④競争力の低下
競争を避けがちなため業界内での競争に鈍感になり、組織が衰退化する危険性がある。
⑤問題の見過ごし
対立を恐れるあまり、起こりうる問題やリスクに対して反応をせず見過ごしがちになるため、組織内の問題が放置され、やがて大きな課題が顕在化する可能性がある。
このような弊害により、一見心理的安全性が高いように見える「ぬるま湯組織」は、イノベーションが生まれにくく、問題を見過ごしてしまうことで組織の衰退につながりかねないのです。
では、「ぬるま湯組織」ではない、「心理的安全性の高い組織」にしていくためにどのようなことが大切となるのでしょうか。
目標達成への責任感、モチベーションを高めるには
「心理的安全性の高い組織」は「ぬるま湯組織」と異なり、目標達成へのモチベーションが高く、異なる意見であっても恐れず発言ができ、活発なコミュニケーションが行われている組織です。
このようにメンバーの一人ひとりが目標達成への責任感やモチベーションを向上させるには、下記のような取り組みが必要となります。
①明確なビジョンの共有と目標設定
まず組織のビジョンを明確に定義し、メンバー全員に浸透させる。ビジョンは組織が目指す未来の姿や価値観を示すもので、メンバー全員が納得できるものにする。ビジョンに基づいて、明確な目標設定をし、定期的に成果を評価する仕組みを導入する。
②メンバーへの成長機会の提供
メンバーが成長できる機会を提供し、スキルアップの形成をサポートする。成果や貢献を積極的に評価することで向上心をもって働く環境を整える。
③継続的フィードバック
成果や貢献も積極的に評価し、ビジョン・目標に対して進んでいるかを確認し継続的にフィードバックを行う、メンバー同士のコミュニケーションを活性化させることでもモチベーションを高めることができる。
④挑戦を推奨し、失敗を許容する文化
新しいアイディアやリスクをとることを奨励し、失敗を学びの一部とする組織文化を作る。挑戦を恐れず失敗から学び成長する姿勢を促す。
⑤役割と責任の明確化
組織内のビジョンと目標を意識しつつ、他のメンバーと連携しながら、自分の役割と責任を明確にすることで、当事者意識をもって自分の仕事に取り組む。
以上のことから、前回学んだ「心理的安全性を高める」取り組み、「目標達成への責任感、モチベーションを高める」取り組み、このふたつがあわさってこそ、真の「心理的安全性の高い組織」になるといえるでしょう。
弊法人では、企業のビジョン構築支援、人事評価制度の構築・改定支援を行っており、従業員のモチベーションアップにつなげる職場づくりに活用することができます。
ビジョン構築 - 社会保険労務士法人 プラットワークス - 東京都千代田区・大阪市北区の社労士法人 (platworks.jp)
制度構築 - 社会保険労務士法人 プラットワークス - 東京都千代田区・大阪市北区の社労士法人 (platworks.jp)
また、弊法人では企業における働き方の仕組みづくりを行う「社会保険労務士」とメンタルヘルス面の支援にかかわる「臨床心理士(公認心理師)」の協同で支援を行う、日本唯一の企業向けオンラインカウンセリングサービスPlattalksを運営しております。
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Plattalks - 社会保険労務士法人 プラットワークス - 東京都千代田区・大阪市北区の社労士法人 (platworks.jp)