前回のコラムでは、衛生委員会の設置基準や構成メンバー、議題について学んできました。では、衛生委員会で審議された内容はどのように記録に残す必要があるのでしょうか?
労働安全衛生規則第23条により、衛生委員会の開催後は、議事録を作成し、重要な議事内容については文書で記録・保存し、従業員に周知しなければなりません。以下、議事録作成、周知、保管時のルールについて確認していきましょう。
議事録記載事項
衛生委員会の議事録は、労働安全衛生規則第23条により、以下の二つを記載しなくてはなりません。
・衛生委員会で生じた意見とその意見を踏まえて講じた措置の内容
・そのほか衛生委員会における議事で重要なもの
さらに、わかりやすい議事録を作成するために以下の6項目についても記載しておくとよいでしょう。
・開催日時
・開催場所
・出席者(名前と役職、人数)
・議題
・合意事項
・産業医からのコメントや講話
※議題によっては個人情報を取り扱うこともありますが、議事録に個人情報は記載しないように注意しましょう。
また、労働時間の算出時は部門ごとに集計することで、長時間労働の実態についてより明確に把握することができます。
議事録の周知
事業者は、衛生委員会の開催の都度、遅滞なくその議事の概要を以下のいずれかの方法により労働者に周知しなければなりません。
・常時各作業場の見やすい場所に掲示する、または備え付ける。
・書面を労働者に交付する。
・電子記録(イントラネット)にして、常時情報を共有する。
議事録の保管
事業者は衛生委員会の開催(月一回以上)の都度、委員の意見や当該意見を踏まえて講じた措置の内容、委員会における議事で重要なものを記録し、3年保存しなければならないとされています。
議事録は紙媒体に限らず電子データでの保存も可能です。労働基準監督署の立入検査で議事録の提出を求められることがありますので、速やかに対応できるよう、保存場所を明確にしておきましょう。
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衛生委員会 |
委員の構成 |
・総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者もしくはこれに準ずる者 ・衛生管理者 ・産業医 ・衛生に関し経験を有する者 |
調査審議事項 (付議事項) |
1)衛生に関する規程の作成に関すること 2)衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること 3)衛生教育の実施計画の作成に関すること 4)定期健康診断等の結果に対する対策の樹立に関すること 5)長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること 6)労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること等 |
開催、周知と保管 |
・月一回以上開催する ・委員会での議事録の概要を労働者に周知する ・委員会での議事録等を作成し、3年間保存する |
※衛生委員会の概要まとめ
衛生委員会を労働環境の改善に生かす
また、衛生委員会を行うことは、以下のようなメリットが挙げられます。
・労使双方が労働問題について共通認識をもつことができる
・労働者の意見が直接届くので、効果的な労働問題への対策に反映させることができる
・長時間労働者が医師による面接指導の申し出をしやすい環境整備につながる。
・衛生管理の重要性を事業場に啓発する
このように、職場の従業員が安全かつ健康に働くことのできる環境の整備がされているか、従業員にヒアリングをしながら実態把握を行い、それを通じて労使間のコミュニケーションを積極的に行うことで、従業員が安心して働くことのできる安全対策や労働時間、ハラスメント対策などの実施につなげていくことが大切です。
弊法人では、「社会保険労務士」と「臨床心理士(公認心理師)」の協同で支援を行う、日本唯一の企業向けオンラインカウンセリングサービスPlattalksを運営しております。職場における心身の健康に不安を感じている従業員にとって、相談することで心の負担を軽くするプラットフォームとして活用いただくことができます。
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また、弊法人では、職場における従業員の安全と健康を確保するために、従業員のメンタルヘルス不調防止に向けた「安全衛生管理体制の構築支援」や、「休職制度の見直し」などの支援も行っておりますので、ぜひご活用ください。
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