コラム

副業・兼業における労働時間の通算ルール見直しについて(2024年9月20日更新)

以前のコラムで、政府の規制改革推進会議が、二か所以上の事業所で働く労働者の労働時間通算ルールについて、見直しを行うことを紹介しました(2024.1.26「副業・兼業 労働時間の通算ルールが見直されます」)。

ここでも紹介したように、労働時間の通算ルールには、原則ルールと管理モデルというものがあります。
原則ルールでは、二か所以上の事業場で働く者の労働時間について、①それぞれの所定労働時間を通算し、②所定外労働の発生順に所定外労働時間を通算し、③法定労働時間を超えた場合に、その超えることとなる事業主が割増賃金を支払います。

一方、管理モデルでは、本業先と副業・兼業先で管理モデル導入に合意をすることで、本業先と副業・兼業先がそれぞれ労働時間の上限を定め、その上限内で労働させる限り、他方の会社での労働時間の把握が不要になります。ただし、副業・兼業先は、本業先での労働時間にかかわらず、自らの事業場での労働時間全体を法定外労働時間として、割増賃金を支払います。

しかしこれまでは、いずれの制度の場合でも、副業・兼業先の負担が重く、事業主は副業・兼業者の採用に消極的になるなどの問題が指摘されていました。
これを受けて今回の見直しに踏み切ったと考えられます。

副業

 

厚生労働省の有識者会議では、この通算ルールそのものを廃止し、日・週単位での通算労働時間の把握を不要とし、健康管理のための月単位の労働時間把握のみを求めるとしています。
これにより、従来の通算労働時間の管理が労働者の自己申告に依拠し、実態把握が難しくなっていたこと、本業先と副業・兼業先での調整が必要であったこと、といった問題が解消されます。

 

副業・兼業ルールの見直しは、2026年から適用される見通しです。
副業・兼業は、労働者が多様なスキルを獲得し、主体的にキャリア形成できるなどのメリットがあります。労働者が獲得した多様なスキルを自身の職務に活かすことで、送り出し企業・受入企業双方に多くのメリットがあるでしょう。

2026年の副業・兼業ルール見直しに向けて、副業・兼業の制度を整備するのはいかがでしょうか。

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