ワークエンゲージメントとは、個人が仕事にやりがいを持って取り組むことができている状態を指します。では、具体的にワークエンゲージメントはどのような基準で測ることができるのでしょうか。また、ワークエンゲージメントを高めるために企業はどのような意識を持つ必要があるのでしょうか。
ワークエンゲージメントとは
ワークエンゲージメントとは、オランダ・ユトレヒト大学のウィルマー・B・シャウフェリ教授らによって提唱された概念であり、
活力(Vigor)・熱意(Dedication)・没頭(Absorption)の3つの要素によって構成されています。以下が各要素の内容です。
1.活力(Vigor)
Vigor is characterized by high levels of energy and mental resilience while working, the willingness to invest effort in one’s work, and persistence even in the face of difficulties (Schaufeli, 2012).
活力とは、仕事中の高いエネルギーや精神的な回復力、仕事に労力を惜しまない姿勢、困難に直面した際にもあきらめない様子などを特徴とします。
2.熱意(Dedication)
Dedication refers to being strongly involved in one’s work, and experiencing a sense of significance, enthusiasm, inspiration, pride, and challenge (Schaufeli, 2012).
熱意とは、自分の仕事に強く関わり、意義、熱意、ひらめき、誇り、やりがいを感じることを指します。
3.没頭(Absorption)
Absorption is characterized by being fully concentrated and happily engrossed in one’s work, whereby time passes quickly and one has difficulties with detaching oneself from work (Schaufeli, 2012).
没頭とは、完全に集中した状態で楽しく仕事に取り組み、時間が気づかぬ間に過ぎるというような、仕事に夢中になることを意味します。
また、このワークエンゲージメントとは、一時的ではなく持続した状態を指すことも特徴としています。
ワークエンゲージメントの測定方法
ワークエンゲージメントを測定する方法として、ユトレヒト職務関与尺度があげられます。この質問紙は上記で紹介した3つの要素に基づいた計17問によって構成されており、例えば以下のような質問項目があります。
「仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる」
「自分の仕事に誇りを感じる」
「仕事をしていると、つい夢中になってしまう」
各質問に対し、0〜6のうち最も当てはまる数字を回答することによってワークエンゲージメントを測ることができます。
選択肢は以下の図の通りです。
(Schaufeli & Bakker, 2003)
なお、9つの質問項目のみで構成されている、短縮版のユトレヒト職務関与尺度もあります。
ワークエンゲージメントを高めるために
個人がワークエンゲージメントを高めるために、組織としてできることは何でしょうか。最初にも紹介したように、ワークエンゲージメントとは個人が仕事に熱中できているような状態を指します。心理学者ミハイ・チクセントミハイによって提唱されたフローという概念がありますが、これは、人々がその時行っていることに完全にのめり込み、集中している状態を指します。時間を忘れてしまうほど物事に熱中してしまう、といった経験がある方も多いのではないかと思いますが、まさにそれはフローの状態にあると言えます。
熱中できる仕事とは、1人ひとりの適正に合い、かつ意欲を掻き立てるような仕事であると考えられます。組織はこの社員と仕事とのマッチングを達成するために、社員の適性や状況を把握する体制の整備や、明確な共通目標を掲げ、浸透させるなどといったアプローチが必要です。具体的には、社員との定期的な面談を行うことで的確な人事体制を整えたり、社員へのビジョンの浸透の機会を設けたりするなどの取り組みが考えられます。
また、社員が高いワークエンゲージメントを保つことは、仕事の生産性の向上にも繋がります。働く人と組織の両者にとってより理想的な状態を目指すために、まずは社員1人ひとりに寄り添う意識が大切です。
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