コラム

長時間労働と過重労働の定義とは①~長時間労働の定義~

2021年のWHO(世界保健機関)ILO(国際労働機関)の協同調査によると、2016年に仕事に関連した病気等で死亡した190万人のうち、週55時間以上の長時間労働が原因となる者が745,000人であることが明らかとなり、2000年の調査から29%もの増加となりました。このように長時間労働は世界的にも業務に関連する疾病発症の最大のリスクとなるといわれています。また、厚生労働省「過労死防止対策白書」にて2022年週労働時間49時間以上の者の割合を諸外国と比較した調査によると、該当する日本人労働者の割合は15.3%にのぼり、先進国の中では依然として高い数値でした。

 

長時間労働の者の割合

                                                                           ※厚生労働省「令和5年版過労死防止対策白書」より

 

以前のコラムにおいて、精神障害の労災認定基準と脳・心臓疾患の労災認定基準を解説し、その基準として、長時間労働過重労働、二種類の言葉が登場していましたが、それぞれどのような定義となるのでしょうか。このコラムでは長時間労働と過重労働について学び、従業員の長時間の労働による健康障害を防ぐために、労働時間の管理・長時間労働への対策に生かしていきましょう。

長時間労働とは?

長時間労働とは、実労働時間が法定労働時間を大幅に上回ることを指します。長時間労働には「〇時間以上」などの明確な基準は法律上なく、長時間労働に対するとらえ方は個人差があります。法定労働時間である「1日8時間・週40時間」を超えて労働することを長時間労働として解釈する場合もあります。

なお、長時間労働の基準となる時間は法律によって異なり、具体的には以下のような記載があります。

 

【労働基準法】:時間外労働の上限規則

・原則月45時間、年360時間

・特別の事情で年720時間複数月平均80時間以内、月100時間未満まで

 

【労働安全衛生法】:長時間労働者への面接指導要件

月80時間を超える時間外労働・休日労働を行った労働者で申し出をした者

月100時間を超える時間外・休日労働を行った研究開発業務従事者、高度プロフェッショナル制度適用者

 

【労働者災害補償保険法】:精神障害、脳・心臓疾患の労災認定基準

精神障害の労災認定基準

・特別な出来事としての「極度の長時間労働」

 発症直前1か月におけるおおむね160時間以上の時間外労働

 発症直前3週間におけるおおむね120時間以上の時間外労働

・「出来事」としての心理的負荷の強度が「強」と判断される長時間労働

 発症直前の2か月連続して1か月おおむね120時間以上の時間外労働

 発症直前の3か月連続して1か月おおむね100時間以上の時間外労働

 

脳・心臓疾患の労災認定基準

・労災認定における労働時間の評価点

 おおむね45時間を超えた時間外労働が長くなるほど、業務と発症の関連が強くなる

 発症前1か月におおむね100時間発症前2~6か月1か月80時間を超える時間外労働が認められる場合、 業務と発症の関連が強いと評価できる

 

今回のコラムでは、現代の日本における長時間労働が引き起こす問題と長時間労働の定義について学んできました。のコラムでは過重労働の定義の他、長時間の労働によるリスクや対策について解説していきます。

 

弊法人では、職場における従業員の安全と健康を確保するために、従業員の長時間労働による健康障害防止に向けた「安全衛生管理体制の構築支援」の支援も行っておりますので、ぜひご活用ください。

健康管理 - 社会保険労務士法人 プラットワークス - 東京都千代田区・大阪市北区の社労士法人 (platworks.jp)

 

また、弊法人では、「社会保険労務士」と「臨床心理士(公認心理師)」の協同で支援を行う、日本唯一の企業向けオンラインカウンセリングサービスPlattalksを運営しております。職場における心身の健康に不安を感じている従業員にとって、相談することで心の負担を軽くするプラットフォームとして活用いただくことができます。

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Plattalks - 社会保険労務士法人 プラットワークス - 東京都千代田区・大阪市北区の社労士法人 (platworks.jp)

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