コラム

14日以上の連続勤務禁止へ~労基法改正2026~

厚生労働省は、労働者の連続勤務日数について、労働基準法を改正して14日以上の連続勤務を禁止する検討に入りました。現行制度では48日間最長で連続勤務が可能となっており、事実上連続勤務の制限があるとは言い難い状況です。現在、厚生労働省は2026年の法改正を目指して検討に入っています。

現行制度~なぜ48日連続勤務が可能?

現行の労働基準法第35条においては、使用者は労働者に少なくとも週1回の休日を与えることを原則としつつ、4週間を通じて4日以上の休日を与えれば足りるとしていています。

 第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。
 ② 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

では、なぜ現行の労働基準法においては連続で48日間の勤務が可能なのでしょうか。

この44休制は4週間の最初の4日と次の4週間の最後の4日を休日とした場合、最長で間に挟まれる48日間を連続勤務させることが可能となるため、最長で48日連続勤務が可能となります。
しかしながら、36協定を締結し、割増賃金を支払うことが可能であれば、休日労働も可能となるため、理論上は365日勤務することも可能なのです。

14日以上連続勤務の禁止とは?

上記の48日間連続勤務などにより労働者の健康が損なわれることを防ぐために、14日以上の連続勤務禁止を検討することとなりましたが、なぜ14日という日数なのでしょうか?

実はこの14日間の連続勤務は精神障害の労災認定基準でもある心理的負荷の判断要素でもある「2週間以上の連続勤務」に該当する基準日数となります。現在の44休制を見直し、14日以上の連続勤務禁止を法改正に取り入れることで、過労死や過労自殺の防止、ワークライフバランスの改善につなげることを目的としています。

法改正で影響すること

①労働者の健康的な労働環境の実現

連続勤務の制限を行うことで、労働者の疲労蓄積を防ぎ身体的・精神的健康を守ることができるため、過労死などの労働災害を防ぐことができます。また、労働者が私生活と仕事のバランスを取りやすくなるため、労働者の生活の質を向上させ、家族との時間や社会活動への参画を増やすことにつなげられます。

②生産性向上

労働者が適切な休息をとることができるため、労働者も業務へのモチベーションが向上し、集中して仕事に向き合うことができます。

③収入の減少

連続勤務の制限に伴って、一部の労働者にとっては残業代を含めた収入の減少につながる可能性があります。特に非正規社員などの時間給で働く従業員の収入が減少するリスクをはらんでいます。

④人手不足の悪化

医療・運輸などの慢性的な人材不足に悩んでいる業界では、この規制によってさらに人材確保が困難となる可能性があります。連続勤務の制限に伴って追加要員や派遣社員などの採用を行い、代替要員の確保をする必要があります。

 

以上のことから、14日連続勤務禁止を法令で定めることは、労働者の健康を守るうえで重要な一歩となるでしょう。一方で労働者の収入減や人手不足業界におけるさらなる人員確保の困難といったネガティブな影響も予想されます。

しかしながら、働き方改革や健康経営の推進はESG投資や人材確保の点においても近年特に重要視されており、労働者の働く環境の改善は個人のパフォーマンスの向上につながり、長期的目線では企業の業績拡大・成長に寄与していくでしょう。

今回のコラムでは14日間の連続勤務の禁止に関して詳細を解説しました。2026年の改正に備えて、労働時間の管理や有休休暇制度の整備など、従業員が働きやすい職場環境づくりを早くから対処していくことは重要です。

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