週休3日制とは?~メリット・デメリットと導入時の注意点~

以前のコラムでは、「限定正社員」制度について解説しました。働き方が多様化している現代において、「限定正社員」制度の他に注目され、導入が進んでいる就業制度の一つとして、「週休3日制」が挙げられます。

2015年にファーストリテイリング、2020年にみずほ銀行など多くの企業や自治体において導入が進んでおり、最近では東京都が2025年度より導入することが決まっています。今後ますます労働者からのニーズが高まるであろう「週休3日制」について、今回のコラムでは「週休3日制」とはどのような制度であり、導入することでどのようなメリット・デメリットがあるのか、導入時の注意点について解説していきます。

週休3日制とは

「週休3日制」とは1週間に3日の休日を設定することです。この休日は、使用者と労働者の間で決めるケースが一般的ですが、労働者自身が本人の希望に合わせて1週間に休日を3日とする働き方の制度は「選択的週休3日制」とよばれています。現状では労働基準法によると労働時間は原則18時間勤務、週40時間勤務が原則とされており、フルタイムと呼ばれる働き方は週518時間勤務、週休2日が一般的となっています。

近年は少子高齢化に伴い、人材不足が深刻となっており、働き方の柔軟性を高め、育児、介護、治療と仕事の両立、学び直し、余暇の充実など、働く人々のワークライフバランスを促進する施策が求められ、週休3日制についても、多様なニーズをもつ労働者にとって、より需要が高まっていくと考えられます。

週休3日制の3パターン

週休3日制は大きく分けて以下の3パターンがあります。

この3パターンのうち、下記①・②のように労働時間に連動して給与も増減するタイプの制度導入が実際としては多く、③のようなパターンは業務における生産性の向上を必要とするため、導入事例としては少ないのが実態です。

①労働時間を減らし、給与も減額する
…労働時間を1日分減らし、給与も労働時間の減少に合わせて減額する

週休3日制

 

 

 

 

 

 


②労働時間を減らさず、給与も維持する
…1日当たりの労働時間を2時間ずつ増やし、週40時間勤務のままにしつつ、給与も維持する

週休3日制

 

 

 

 

 

 

 

③労働時間を減らし、給与は維持する
…労働時間を1日分減らしつつも、給与は維持する

週休3日制

 

 

 

 

 

 

 

週休3日制のメリット・デメリット

では、週休3日制を導入した場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。企業側にとって、労働者個人にとっての二つの側面から見ていきましょう。

<メリット>

主なメリットとしては以下の通り、ワークライフバランスの確立や多様な働き方を希望する人材の獲得、企業イメージの向上などが挙げられます。育児や介護などの事情により週5日フルタイムでの勤務が難しい労働者にとって、離職をすることなく、仕事を続けることができます。また、近年は特に多様な働き方を推進している企業は企業イメージの向上につながり、採用力が強化され、優秀な人材の確保につなげることができます。

企業

労働者

・労務コストの削減

・生産性の向上

・人材不足の解消

・企業イメージの向上

・育児や介護との両立

・副業やプライベート時間の確保

・不本意な離職の防止

 

<デメリット>

デメリットとしては、勤務日数が少なくなることで、特に営業や接客業といった対面で価値提供を行う職種において、企業の営業機会の減少につながる可能性があります。また、週休3日制のタイプによっては収入の減少や、労働時間数を減らす一方で業務量が変わらない制度の場合、かえって労働日の残業が増加してしまうおそれもあります。また、先述した通り、週休3日制には労働時間数や給与の設定によってさまざまなタイプがありますので、企業の実態にあった制度構築が必要となります。

企業

労働者

・営業機会の減少:価値提供の頻度減少
→対面でやりとりする営業や接客業に顕著

・制度構築が複雑になる

 

・業務への支障
(業務量が変わらない場合、残業の増加リスク)

・給与の減少

・社内コミュニケーションの難航

 

週休3日制導入にあたって注意すること

①導入方針の明確化

週休3日制を導入するにあたっては労働時間の管理が複雑化することが考えられますので、まずは社員の労働時間の実態と希望を把握した上で、週休3日制のどのパターンを導入することが最適か導入方針を考えたうえで、具体的な導入を進めていくとよいでしょう。企業の実態に応じた最適な週休3日制の導入にあたっては、企業の労務管理に精通した専門家のアドバイスを聞くことがよいでしょう。

②対象労働者に期待する役割・労働条件の検討と設定

制度の導入にあたっては、対象となる労働者にどのような役割を期待するかを検討していく必要があります。育児や介護、病気休業からの復帰、副業や自己啓発など対象者の希望理由によって職務内容や適用期間を設定していきます。

第一に、労働条件(人事評価・賃金・教育訓練)についての設定も必要です。人事評価は対象者の実情に応じて設定した期待役割に応じて設定していきましょう。特に人事評価にあたり設定する目標はフルタイムの労働者と比べて仕事をする時間「量」が減少することが多くなるため、その点を踏まえた上で「質」についてはフルタイム労働者と同様の基準で評価するとよいでしょう。

教育訓練については期待役割に応じて機会を提供し、週休3日制によって対象労働者に教育訓練を受ける機会に制約が生じないように留意していく必要があります。

また、賃金については週休3日制の導入に伴い変動する労働時間に応じて設定していくのが基本となります。各種手当については導入の趣旨や支給基準を確認した上で支給するかを検討しましょう。

 

このように、週休3日制は会社・労働者ともに多くのメリットがある一方で、生産性の向上や複雑な制度設計や労務管理の体制を整える必要があるなど、導入への障壁は。このような場合、労務管理に精通した専門家に相談していくことがより必要となります。

弊法人では、週休3日制の導入をはじめとした事業主の事業特性や組織風土に合った運用しやすい制度構築の支援を行っております。ぜひご活用ください。

制度構築 - プラットワークス|社会保険労務士法人プラットワークス|東京都 千代田区 大阪市|社労士法人 社労士事務所

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