9月22日にニューヨーク証券取引所で行われた講演の中で、岸田文雄首相がジョブ型の職務給中心の給与体系への移行を促す指針を官民で策定することを示しました。
職能給と職務給の違いとは
職能給とは、年齢や勤続年数、技術、知識、経験など職務遂行能力を評価して給与を決定し、一般に勤続年数の経過とともに昇給する制度です。
これに対し、近年のジョブ型雇用への関心の高まりとともに注目されているのが職務給です。 職務給とは、職種の専門性や業務の難易度を重視し、「従業員の担当する職務(仕事)」を基準に評価を行い給与を決定する、仕事基準の給与制度です。 企業内の職務について、職務分析を行い、それぞれの職務について職務評価を行うことにより、職務とその範囲、必要とされる能力を規定した職務記述書を作成します。これによって、職務内容と求められる能力が明確になり、外部労働市場から人材を採用しやすくなります。
また、高年齢者が比較的高い給与水準になる傾向のある職能給とは異なり、職務給では、年齢にかかわらず職務内容に応じて給与額が決定されます。 さらに、職務給をより広く捉えた概念として役割給があります。
役割給とは
役割給とは、「従業員の担う職務に対する期待役割」を基準にして定められる給与です。職務に要求される役割責任・職責・権限のレベルの高さ、大きさにより役割ランクを設定し、従業員を格付けし、その役割ランクにより給与を決定します。
役割給は、日本的な改善や連携への自発的な取組を促すことにより、日本の業務慣行とも整合しやすく、多くの企業で導入されています。
アフターコロナで事業環境が大きく変容する中、生産性向上を目的として人事制度の見直しの必要に迫られており、また、今回の指針策定を受けて、職務給や役割給の導入が今後広まっていくと考えられます。
プラットワークスは、給与制度の構築を得意としており、職務給や役割給の導入支援も可能です。お気軽にご相談ください。
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