ほぼものづくり補助金!?新設された中小企業省力化投資補助金(一般型)について中小企業診断士が分かりやすく解説

中小企業省力化投資補助金(以下、「省力化補助金」と呼びます)は中小企業の生産性向上と人手不足解消を目指して2024年に新設されたものですが、昨年の内容は「カタログ型」で指定の設備を選ぶ形でしたので、手続きが比較的簡単で速やかに対応が行われる一方で、自社に合ったシステムや設備を導入したい一部の企業にとっては使いづらい面がありました。
このような昨年の課題を踏まえ、今年はオーダーメイドのシステム開発や導入が可能な「一般型」が新たに追加され、省力化に向けた多様なニーズに応えられるようになりました。
1月30日に公募要領が公開され、基本的な内容はものづくり補助金(オーダーメイド枠)とほぼ同様と確認できましたが、重要なポイントがいくつかありますので注意して見ていきましょう。

補助制度の概要

まずはものづくり補助金(オーダーメイド枠)とカタログ型と比較しながら全体の概要を見てみましょう。
異なるポイントとしては、ものづくり補助金が革新的な新製品・サービスの開発を重視していたのに対し、省力化補助金(一般型)は生産や業務プロセスを効率化することで生産性向上を図ることを重視している点です。
また、カタログ型とはオーダーメイド設備や個々の会社に合わせた汎用設備・システムを導入することを想定している点が異なります。
これらの違いはホームページ上の案内チラシに記載されています。つまり、そのような目的や違いを踏まえた事業計画を作成することが求められるということになりますので、ポイントを押さえて作成するようにしましょう。なお、必須となる機械装置・システム構築費は単価50万円(税抜)以上の投資が必要ですので、こちらも合わせて押さえておきましょう。
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4つの基本要件

基本要件も重要なポイントがいくつかありますので注意が必要です。以下の点を確認しましょう。

① 労働生産性
補助事業終了後5年間で毎年、申請時と比較して労働生産性を年平均成長率(CAGR)4.0%以上向上する計画を作り取り組むとされています。
これはつまり、短期的な改善ではなく長期的に取り組みを続けることができるかどうか、という点が見られています。長期的に取り組むことができるということは、しっかりとした計画を立て企業全体で取り組む体制ができていると言えます。

② 給与支給総額
「1人あたり給与支給総額の年平均成長率」が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、又は「給与支給総額の年平均成長率」を+2.0%以上増加させることが必要です。
企業が効率化や生産性を上げることを目的としていることは間違いないのですが、効率化や生産性向上を達成することによって従業員に還元することをしっかり行うことが重要であるというメッセージです。
従業員に無理をさせて生産性を上げても長くは続きませんし、企業も従業員も一緒に成長していく取り組みを行うことが大事です。

③ 最低賃金の引き上げ
事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準とすることも要件です。
これも②と同様の考え方ですが、昨今の物価高の背景も踏まえ、従業員の生活を保証し、より安心して長く働いてもらう体制を作ってほしいという意図があると考えられます。

④ 一般事業主行動計画の公表
従業員数21名以上の場合、交付申請時までに、「両立支援のひろば」に次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表することも要件とされました。
働き方改革など、企業が積極的に従業員の育児・介護など仕事を両立できるようサポートしてほしいという社会的責任を果たす意味も込めていると考えられます。
現在では様々な働き方のニーズが生まれていますし、従業員のワークライフバランスを支援する意味でも重要な要件となりそうです。

基本要件以外の4つの重要ポイント

省力化補助金には基本要件の他に「その他要件」がありますが、その中で重要なポイントを4つ挙げます。
基本的には記載内容の通りのことを実施する形になりますが、特に①の省力化指数は分かりづらいと思いますので詳しく解説します。

① 省力化指数を計算した計画を作る
業務削減割合を測る指標として「省力化指数」が示されています。これは簡単に言うと、設備を導入した結果どれだけ業務が効率化されたか、または時間が削減できたかを評価する指標であり、以下の計算式で算出します。
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・設備導入による削減時間=新しい設備を導入したことで、既存の業務を進めるのにかかる時間がどれだけ減ったか、効率化された時間のこと。
・設備導入による増加時間=新しい設備を導入したことで、新たにかかる時間や追加の作業(例えば、設備の操作や新たに発生する調整など)のこと。

<具体例>
現在既存作業にかかる時間:月100時間
設備を導入した削減後の作業の時間:月70時間(月30時間の削減)
設備を導入し新たに発生した作業にかかる時間:月10時間
省力化指数:(30-10)÷30 =約0.67(67%の効率化を達成)

② 事業計画上の投資回収期間を根拠資料とともに提出する。
   ※ 投資回収期間=「投資額/(削減工数×人件費単価+増加した付加価値額)」

③ 3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して付加価値額が増加する計画を作る。
   ※ 付加価値額=(営業利益)+(人件費)+(減価償却費)

人手不足の解消に向けて、オーダーメイド設備等の導入等を行う計画を作る。

省力化で優秀な人材確保に繋げる

省力化補助金は、より多くの企業が抱える課題である人材不足や業務効率化を解決し生産性の向上を目指していく制度になります。10年後の2035年には約384万人分の労働力が不足するとも言われていますので早急な対応が必要です。
省力化による生産性向上や業務効率化に積極的に取り組むことは企業価値を高めることにもなりますし、魅力的な職場を作ることは結果的に今後さらに激しくなる優秀な人材確保の競争に向けた強力な武器にもなります。国としても前向きに取り組む企業を支援していく姿勢を見せていますので、この機会に補助金を上手く活用していきましょう。

社会保険労務士法人プラットワークスでは、多数の企業様に補助金や助成金の支援を行っていることや、自ら補助金や助成金の採択・通過した実績を踏まえ、皆さまの支援をいたします。
また、2025年2月26日(水)に設備投資や事業拡大に向けた補助金を活用するための無料ライブセミナーを実施しますので、ぜひご参加ください。

 


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