補助金バブルと言ってよいほどに5月に入り続々と情報が公開されていますね。今回は創業3年以内の事業者様向け補助金である「小規模事業者持続化補助金<創業型>」についてホームページと正式版(第2版)公募要領が公開されたので解説します。
創業型は一般型と同時に公開された補助金で、申請額はインボイス特例を含めると最大で250万円となり、これから本格的に事業拡大や業務効率化といったことを考えている事業者様にはオススメの補助金です。
この補助金の目的は『今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更等に対応するため に 取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ること』とされています。
つまり、将来に向けて制度のルールがいろいろ変わっていく中で、小さな会社やお店が事業を拡大したり、事業をうまく行うための工夫をしたりする取り組みを支援することで、地域の経済や産業を活性化に繋げ、それを安定して続けられるようサポートしますよ、ということになりますので、ぜひその目的に沿った制度活用をしてもらえればと思います。
制度概要とスケジュール
基本的な制度の内容は暫定版から変更はなく、補助上限は200万円、インボイス特例が適用されると50万円の上乗せがあるという、創業間もない事業者様には大きな金額です。補助対象経費は一般型と同様に幅広いですので、設備投資や広告など、創業期には資金的になかなか難しい取り組みをこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。
スケジュールは以下の通りです。
申請受付締め切りは6月13日ですが、小規模事業者補助金は商工会議所や商工会が発行する事業支援計画書(様式4)が必要になり、その締め切りは6月3日になりますので注意が必要です。
公募要領公開:2025年3月4日(火)
申請受付開始:2025年5月1日(木)
申請受付締切:2025年6月13日(金) 17:00
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切:2025年6月3日(火)
申請から補助金交付までの流れ
補助金を申請してから採択、交付まではいくつかのステップがあります。特に申請が初めての事業者様から質問を受けることが多いのは、「採択を受けたとしても、全額は交付されるとは限らない」ということです。
補助金を申請・採択を受けた後、提出した事業計画書に沿った事業(補助事業)を実施し、実施した内容の審査を受けて問題がなければ交付される流れになります。
また、今年度は電子申請が厳格になっていますし、商工会議所や商工会に提出する業支援計画書(様式4)についても、Jグランツ上に入力したものを印刷して提出するといった、よりデジタル化が進んでいる印象です。
公募要領に流れの一覧が記載されているので確認をしておきましょう。
公募要領の暫定版と正式版の比較
公募要領は3月4日に暫定版が公開された後、約2カ月後の5月1日に正式版が公開されました。その中でポイントとなる変更箇所を確認し、その意図を読み取っていきたいと思います。
1.補助事業実施期間の変更
補助事業実施期間が暫定版から1カ月後ろ倒しになりました。これは一般型と同様、毎年人気の補助金でもあることから、事務局や商工会・商工会議所の事務負担を考慮して余裕を持ったスケジュールにしたのではないかと思います。
正式版:2025年9月~事業実施期限:2026年7月31日までの期間
暫定版:2025年8月頃~事業実施期限:2026年7月31日までの期間
2.インボイス特例の売上高期間を明確化
インボイス特例の適用に関する必要な手続きについて、特に「インボイス特例の申請に係る宣誓・同意書」(様式9)にかかる課税売上高の対象期間の明確化がされています。おそらく事業年度の違いや消費税免税事業者と課税事業者の切り替えが多かった時期等を踏まえ、事業者様の理解促進や負担感軽減、審査のしやすさ、公平性など総合的に考えたのではないかと思われます。
正式版:2019年~2021年まで9月30日の属する事業年度の売上高を記入
暫定版:2期前から6期前の売上高を記入
3.委託・外注費の改装費について追記
委託・外注費の住宅宿泊事業者の改装について、事業用部分の面積は按分することや、計算根拠となる平面図の提出が追記されました。
これは近年のインバウンド需要を踏まえた民泊事業の成長により、民泊開業をする事業者様が増えていることが考えられます。観光庁が出している「住宅宿泊事業届出住宅数等推移」によると、コロナ禍が明けた2022年以降、民泊開業者は年々増えており、住宅改装に関する補助金申請も増えているのだと思われ、トラブル回避のため明文化する必要があったのでしょう。
正式版:「住宅宿泊事業者が改装を行う場合、住宅の内、事業の用に供する部分の面積」 により按分した金額が対象となります。また、計算根拠となる平面図等については、採択後、交付決定までの間に提出が必要になります。」の文言追加
暫定版:住宅宿泊事業者に関する記載なし
参考リンク:住宅宿泊事業法の施行状況(民泊制度ポータルサイト_観光庁)
創業期の事業を加速させる補助金
創業間もない小規模事業者にとっては、やりたいことがあっても資金面で難しいことがあります。小規模事業者持続化補助金<創業型>は、そのような創業時の負担を軽くし、経営の土台を強くすることや事業を加速するのを後押ししてくれる制度です。幅広い経費が対象になりますし、今後様々な補助金を活用する可能性があることを考えると、資金調達の第一歩として活用するのも良いと思います。始めはしっかりした事業計画を作る機会も少ないと思いますので、専門家や商工会などと連携し進めていきましょう。
社会保険労務士法人プラットワークスでは、多数の企業様に補助金や助成金の支援を行っていることや、自ら補助金や助成金の採択・通過した実績を踏まえ、皆さまの支援をいたします。まずはご相談からでもお気軽にお問合せください。
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