IT導入補助金は5月12日に1次募集が締め切られ、続いて2次募集が開始となりました。
激しい環境変化の中で、人手不足や業務効率化に対応しなければならない中、デジタルツールを導入するにもコストやノウハウ不足といった課題が出てきますが、IT導入補助金は導入支援業者とパートナーシップを組んで取り組むことができるので安心して進めることができます。
昨年度は、最終回については残った予算に対し想定以上の申請件数になった等の特殊事情で採択率が低下したと思われますが、例年採択率が高く人気のある補助金ですので1次募集に間に合わなかった方も、これから申請を検討している方も改めて内容を確認していきましょう。
<参考:IT導入補助金「通常枠」「インボイス枠(インボイス対応類型)」の2024年採択率推移>
<「IT導入補助金 交付決定事業者一覧および交付申請件数2024」の内容を基に作成>
概要とスケジュール
IT導入補助金はソフトウェアから申請枠によってはPC・タブレットといったハードウェアまで幅広い経費が対象となるのが特徴です。
申請枠が多く分かりづらいですが、単独で申請する場合は「通常枠」か「インボイス枠(インボイス対応類型)」になると思われますので、自社に合った申請枠で手続きを進めるようにしましょう。
2次公募のスケジュールは以下の通りです。
締切は6月16日(月)の17時までとなっています。電子申請となり、締め切り時間を過ぎると一切受付されることができなくなりますので、早めに手続きを進めることをお勧めします。
なお、複数社連携枠以外の3次公募のスケジュールも既に発表されています。
2次公募に間に合わない場合は、こちらの回の申請も検討してみてください。
申請の主な流れ
IT導入補助金は導入支援者と連携して進めるということから、他の補助金とは少し異なる部分もありますが、基本的な部分は同じ流れになりますので、補助金のホームページや公募要領をしっかり読み込み、漏れなく手続きを進めていきましょう。
1. IT導入補助金の理解
まずは、IT導入補助金の特設ウェブサイトや公募要領を読み、補助金の内容や手続きの全体像を確認します。
2. 申請準備(gBizIDプライムの取得・SECURITY ACTION宣言実施など)
申請には「gBizIDプライムアカウント」が必要です。未取得の場合は、早めに取得手続きを進めましょう。
また、「SECURITY ACTION宣言」を実施することが要件になっています。「SECURITY ACTION宣言」とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施しており、事業者様自らが情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。申請は「★一つ星」または「★★二つ星」を宣言することが要件となります。セキュリティ対策内容の項目数などが異なりますが、「セキュリティ対策推進枠」での申請の場合、「★★二つ星」を取得していると加点対象になります。「セキュリティ対策推進枠」以外の申請枠を検討する場合は「★一つ星」の取得を目指しましょう。
上記手続きに加え、申請に向けた必要書類を準備します。こちらも必ず公募要領を確認し進めることが重要です。
3. IT導入支援事業者・ITツールの選定
自社の経営課題や目的に合ったITツールを選び、そのツールを提供する「IT導入支援事業者」を選定します。
IT導入支援事業者は、申請手続きや導入後のサポートも一貫して支援してくれる重要なパートナーです。自社のニーズや実績、サポート体制やコミュニケーションがとりやすいか等、導入ツールや自社との相性などを慎重に検討し選定するようにしましょう。
4. 事業計画の策定
IT導入支援事業者とともに、現状の課題やITツール導入による効果(生産性向上目標など)を盛り込んだ事業計画を作成します。
5. 交付申請
IT導入支援事業者から「申請マイページ」への招待を受け、ログインします。
代表者氏名などの申請者基本情報、事業計画、ITツール情報などを入力し必要書類を添付します。
IT導入支援事業者が入力内容をチェックし、最終確認後に申請に対する宣誓を行い事務局へ提出します。
6. 審査・交付決定
事務局による審査が行われ、採択・不採択の通知が届きます。
採択された場合、「交付決定通知」を受け取ります。
7. ITツールの契約・発注・支払い
交付決定通知を受けてから、ITツールの契約・発注・支払いを行います。交付決定前の契約や支払いは補助対象外となるため注意が必要です。
また、補助金は「後払い制」ですので、資金繰りには注意が必要です。
8. 事業実績報告
ITツールの導入完了後、請求・支払いの証憑や事業実績報告書を作成し、補助金事務局に提出します。
9. 補助金の受け取り
事務局による確認後、補助金が指定口座に振り込まれます。
課題解決のための補助金活用へ
IT導入補助金は単なるシステムやソフトウェア等の導入費用を補助する制度ではありません。中小企業にとって大企業以上に解決が困難な人材不足や業務改善などの課題をITやデジタルの力で根っこから解決することが本来の目的です。特に日本は世界のデジタル競争力ランキングで31位と、先進国の中では遅れていると言われており、待ったなしで取り組むことが求められています。
こうした中、政府は先日発表した方針の中で中小企業の賃上げや成長投資を支援するため、5年で60兆円もの省力化や生産性向上策への支援をさらに拡充する考えを示しました。その中では補助金制度の改善や支援対象の拡充も掲げられており、国としても現場のDXやデジタル化を本気で後押ししていく姿勢の表れとみてよいと思います。
政府 中小企業などの賃上げへ 5年で60兆円の投資計画まとめる(NHKニュース)
「なんとなく設備投資しないと…」と漠然とした思いで導入やデジタル化を進めるのではなく、自社の現状をしっかり分析することで課題を明確にし、IT導入補助金を含めた各種制度を有効活用して実現性のある計画を立てて実行していきましょう。
社会保険労務士法人プラットワークスでは、多数の企業様に補助金や助成金の支援を行っていることや、自ら補助金や助成金の採択・通過した実績を踏まえ、皆さまの支援をいたします。まずはご相談からでもお気軽にお問合せください。
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