コラム

休職者への適切な対応とは①~休職開始から復職判断まで~

従業員から休職の申し出があった場合、企業として適切かつ迅速な対応をしていく必要があります。では、休職中から職場復帰にいたるまで、どのような流れで対応していくとよいでしょうか。

休職開始から職場復帰までの主なステップとしては下記の5ステップになります。なお、ここではメンタル不調による休職を前提とした職場復帰までのステップを解説します。

なお、厚生労働省では、平成31年に「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を公開しており、本コラムではこの手引きを参考としています。

                                                                                                                                                                                                                                          ※休職開始から職場復帰までの5ステップ  

1.休職開始および休職中のケア

従業員より主治医からの診断書を受け取ったら、休職の判断基準をもとに、該当の従業員についての情報収集を行い、休職が決定したら、従業員に対して休職命令の書面を交付し、休職制度の説明休職に当たっての必要書類などの内容を伝えます。従業員が安心して療養に専念できるよう、経済的な補償、不安、悩みの相談先の紹介、公的・民間の職場復帰支援サービス等情報提供を行う等の支援を行うとよいです。

1)病気休業開始時の従業員からの診断書の提出

病気休業開始に伴い、主治医により作成された診断書を従業員から管理監督者等に提出してもらう。診断書には病気休業を必要とする旨、職場復帰の準備を計画的に行えるように、必要な療養機関の見込について記載してもらう。

2)管理監督者によるケア及び事業場内産業保健スタッフ等によるケア

管理監督者等は病気休業診断書が提出されたことを人事労務スタッフ及び事業場内に連絡し、休職を開始する従業員に療養に専念できるよう安心させ、休職中の事務手続きや職場復帰支援の手順について説明する。

3)病気休業中の従業員の安心感づくりのための対応

従業員が抱えている経済的、将来的な不安をはじめとする相談できる場や支援制度の情報提供など、休職に際しての不安や悩みを軽減するための配慮を行う必要がある。事業場で設けている仕組みの活用や傷病手当金制度、民間の職場復帰支援サービスなどの利用について情報提供や利用支援を行う。

2.主治医による職場復帰可能の判断

主治医による職場復帰可否判断を記された診断書の提出と休職者からの職場復帰の意思の確認を行います。主治医の診断書はその職場で求められる業務遂行能力までの回復状況を判断しているわけではないので、主治医に対して、職場で必要とされる業務遂行能力等の情報を提供した上で、診断書を作成してもらうのが望ましいとされています。

3.産業医による復職可否の判断と復職支援プランの作成

休職者から復職の意思および申出時点での日常生活の様子を確認し、復職先の職場の状況や担当可能業務があるかの確認をします。産業医面談を実施し、復職の可否判断をしてもらいます。復職が決定した場合、事業場内産業保健スタッフを中心に、管理監督者等と連携しながら職場復帰支援プランを作成します。

1)情報の収集と評価

職場復帰の可否判断に当たって、休職者の職場復帰の意思および就業意欲を確認の上、休職者および関係者から必要な情報を適切に収集する。情報収集の際は休職者のプライバシーに十分配慮する。

※収集した情報の評価については主に休職者の状態と、職場環境について行われる。

休職者の状態:治療状況と病状の回復状態、業務遂行能力について、今後の就業への休職者の希望について

 例)今後の通院治療の必要性や状況、薬の副作用などの業務遂行への影響、注意力・集中力、希望する復職先など

職場環境業務と職場との適合性、作業環境管理、職場側の支援状況・雰囲気

   例)業務と休職者の能力・意欲と関心との適合性、業務量や質等の作業管理状況、実施可能な就業上の配慮(業務内容や量の変更、就業制限等)、人事労務管理上の配慮(配置転換、異動等)

2)職場復帰の可否判断

上記情報の収集と評価をもとに、復帰後に求められる業務が可能かどうかについて、主治医の判断や産業医の判断を考慮しつつ、事業場内産業保健スタッフ等を中心に復職可否の判断を行う。

3)職場復帰支援プランの作成

職場復帰が可能と判断された場合、職場復帰支援プランを作成する。元の就業状態に戻すまでに、いくつか段階を設定しながら経過を見る。職場復帰支援プランの作成では、それぞれの段階に応じた内容と期間の設定を行う。

・職場復帰日従業員の状態や職場の受け入れ状況により判断

・管理監督者による就業上の配慮業務サポート内容や方法、業務内容や量の変更、段階的就業上の配慮(残業禁止など)、治療上必要な配慮(通院のための外出など)

・人事労務管理上の対応配置転換や異動の必要性、フレックスタイム制など勤務制度変更の可否

・産業医等による意見安全配慮義務に関する助言など

・フォローアップ管理監督者・事業場内産業保健スタッフ等によるフォローアップ、就業制限見直しを行うタイミングの決定、全ての就業上の配慮や医学的観察が不要となる時期についての見通し

 

これまで、休職開始から職場復帰決定までのおおまかな流れとその際の企業が対応すべき点について解説してきました。

次のコラムでは、職場復帰の最終決定から職場復帰後のフォローアップについて詳しくみていきましょう。

 

弊法人では、「社会保険労務士」と「臨床心理士(公認心理師)」の協同で支援を行う、日本唯一の企業向けオンラインカウンセリングサービスPlattalksを運営しております。職場における心身の健康に不安を感じ、休職を考えている従業員や休職中の従業員にとって、相談することで心の負担を軽くするプラットフォームとして活用いただくことができます。

Plattalksではカウンセラーによる従業員のメンタルヘルスケアを行うだけでなく、相談者の希望に応じて社会保険労務士との連携、相談対応も行っており、働きやすい体制構築に活用することができます。

Plattalks - 社会保険労務士法人 プラットワークス - 東京都千代田区・大阪市北区の社労士法人 (platworks.jp)

また、弊法人では、職場における従業員の安全と健康を確保するために、従業員のメンタルヘルス不調防止に向けた「休職制度の追加、見直し」の支援も行っておりますので、ぜひご活用ください。

健康管理 - 社会保険労務士法人 プラットワークス - 東京都千代田区・大阪市北区の社労士法人 (platworks.jp)


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