コラム

最大1億円の助成金!「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」について中小企業診断士が分かりやすく解説

中小企業にとって、設備投資は事業の成長と競争力強化に不可欠です。しかし、資金面や技術面での課題から、多くの企業が最新設備の導入に二の足を踏んでいるのが現状です。そこで注目されているのが、東京都が実施する「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」です。この支援事業は、中小企業の競争力強化やDX推進、イノベーション創出を後押しし、都内産業の活性化を図ることを目的としています。令和6年度の受付は終了しましたが、令和7年度も募集が行われると思われます。本コラムでは、この支援事業の概要や活用のメリット、申請方法などを分かりやすく解説します。

支援事業の目的と概要

東京都が実施する「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」は、都内中小企業の競争力強化生産性向上を主な目的としています。この事業は、最新設備の導入やデジタル化・システム開発の推進、新たな事業展開などを支援することで、中小企業の成長を加速させる狙いがあります。具体的には、競争力強化、DX推進、イノベーション創出、後継者によるチャレンジなど、多岐にわたる分野での設備投資を対象としています。助成金の支給を通じて、中小企業の資金面での負担を軽減し、積極的な投資を促進することで、東京都全体の産業力向上と経済活性化を目指しています。

助成対象事業

「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」では、中小企業の多様なニーズに応えるため、4つの事業区分を設けています。各区分は企業の成長段階や目指す方向性に合わせて設計されており、幅広い支援を可能にしています。以下に、各区分の概要をまとめます。
令和6年度ではすべての事業区分において、ゼロエミッション要件・賃上げ要件の適用が可能になる等、助成内容が拡充されました。
※ゼロエミッション要件=申請時に提出する「ゼロエミッション概要書」の記載内容から、省エネ効果が高い事業計画と判断された場合、助成率が高くなる。
 賃上げ要件=申請時に提出する「賃金引上げ計画書」や関係書類(賃金台帳、労働契約書等)の内容から、計画の実効性が高いと判断された場合、助成率が高くなる。

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※主な助成対象経費として、機械装置、器具備品、ソフトウェアが対象になりますが、1基50万円(税抜)以上のものに限定される点について注意が必要です。
※ソフトウェアは、「DX推進」以外の区分では、パッケージ・アドオン・プラグイン等、既に仕様が決まっており販売されているものが対象となります。また、スクラッチ開発等、自社の要望に合わせた大掛かりな開発要素のあるものは対象となりません。「DX推進」の区分であっても、税法上の固定資産として登録する必要があります。
※ソフトウェアはAとBに区別されそれぞれ条件が異なります。機械装置、器具備品を含まずソフトウェアのみで申請する場合は、助成金の上限は1,000万円、下限額は300万円かつソフトウェアBのみの申請は不可になります。
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要件・助成率・助成額

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業では、企業規模や事業区分に応じて助成率や助成限度額が設定されています。さらに、前述のとおりゼロエミッション要件や賃上げ要件を満たすことで、より高い助成率を得られる可能性があります。以下に、本事業の助成率や金額などをまとめました。

助成金、補助金、躍進的な事業推進のための設備投資支援事業、東京都、東京都中小企業公社、公社、中小企業診断士、社会保険労務士、【第8回躍進的な事業推進のための設備投資支援事業 募集要項を基に作成】

申請方法・スケジュール

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業に申し込む際は、申請方法とスケジュールをしっかり把握することが重要です。適切な手続きを踏むことで、助成金の獲得に向けた準備が整います。以下に、具体的な申請方法とスケジュールについて詳しく説明します。

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① 申請予約
申請書類を提出するには、事前に申請予約が必要です。予約は公社のウェブサイトから行い、指定された期間内に申し込む必要があります。予約後、公社から申請書類提出日時の連絡があります。

② 申請受付
指定された日時に、必要な書類一式を持参して公社の指定会場にて申請を行います。この際、書類が不備なく揃っていることが重要です。

③ 書類審査
提出された書類は、一次審査として書類審査が行われます。この審査では、事業計画の内容や必要書類の整合性が確認されます。不備がある場合は、追加資料の提出を求められることがあります。

④ 面接審査
一次審査を通過した申請者は、二次審査として面接審査に進みます。面接では事業計画についての口頭説明や質疑応答が行われ、計画の理解度や熱意が評価されます。

⑤ 助成対象者決定
面接審査を経て、最終的な助成対象者が決定されます。選定結果は公社から通知され、助成金の交付に向けた手続きが進められます。

⑥ 助成事業開始
助成対象者として認定された後、実際に助成金を活用して設備投資を行うことができます。助成金の交付条件や使用方法についても確認が必要です。


<注意点>
〇東京都内で2年以上事業を行っている中小企業者であることが要件になります。
〇助成金は後払い制です。企業は設備投資を行った後に助成金を受け取ることになるため、事前の資金準備や必要に応じて金融機関との調整が必要です。
〇過去に本助成事業の採択を受けた企業の場合、助成金の額が確定していることが必要になります。

活用のメリット

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業を活用することで、中小企業は多くのメリットを享受できます。まず、最新の機械設備やソフトウェアを導入することで、生産性の向上や業務効率化が図れます。これにより競争力が強化され、市場での優位性確保に繫がります。また、初期投資の負担が軽減されるため、資金面でのリスクを抑えつつ新技術への挑戦が可能になり、新たな顧客の獲得や販路開拓につながる可能性が高まります。このように、本事業は中小企業の成長と地域経済の活性化に寄与する重要な支援策なのです。

助成金を活用し新たなビジネスチャンスをつかむ

「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」は、中小企業が直面する資金調達の課題を解決し、競争力を高めるための重要な支援策です。この制度を活用することで、最新の設備や技術を導入し、業務の効率化や生産性向上を図ることが可能になります。さらに、助成金による資金面での負担軽減は、企業が新たな挑戦に踏み出す大きな後押しとなります。中小企業の皆様には、この機会を最大限に活用し、持続可能な成長を目指していただきたいと思います。そして、自社の成長は東京都の産業力強化の貢献にもつながりますので、積極的な設備投資を検討してみてはいかがでしょうか。

社会保険労務士法人プラットワークスでは、多数の企業様に補助金や助成金の支援を行っていることや、自ら補助金や助成金の採択・通過した実績を踏まえ、皆さまの支援をいたします。
また、2025128日(火)に設備投資や事業拡大に向けた補助金を活用するための無料セミナーを実施しますので、ぜひご参加ください。

 


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