コラム

フリーランスとの契約形態を選択する際のポイント

サイトやアプリなどのコンテンツ作成や、商品製造などをフリーランスへ長期的に外注する際、企業はどのような契約形態をとるのが良いのでしょうか?

一概にフリーランスといっても、その働き方は実態によってさまざまです。契約内容や会社と就業者のニーズにあった契約形態を選択できるよう、本記事では契約におけるポイントをまとめています。

 

就業に関する契約にはたくさんの形式や内容のものがありますが、民法では、典型的な契約形態として雇用、請負、委任が定められています。これらの違いについて解説していきたいと思います。

それぞれの特徴を、適用したときに発生する問題点やメリット、デメリットを考慮しながらみていきましょう。

 

■雇用(民法623条~

雇用契約とは、一方が使用者、もう一方が労働者として契約を交わし、使用者が労働者に対して労働に従事し、使用者がこれに対してその報酬を与えること約することによって成立します。

雇用契約では労働者に、原則として、労働基準法や雇用保険、労災保険などが適用されるのに加え、作業に必要となる物品などが支給されます。また、使用者からの指揮監督を受けて労働に従事し、勤務場所や勤務時間が指定されたりすることが特徴です。

労働者からすると、労働基準法の適用や労働社会保険の対象になるなど、不利益を被ることなく安心して従事することができます。

使用者は、労働者に対し具体的な指揮命令をすることができますが、人件費等のコストも考慮しなくてはいけません。

 

■請負(民法632条~

請負契約とは、一方が業務の完遂を約し、相手方がその結果に対して報酬を支払うことを約することによって成立します。

請負契約は仕事の完成が目的であるので、請け負った会社や個人に対して、指示をだすことはできません。また、原則として、勤務時間や勤務場所について特に取り決めることはありません。

請負契約は雇用契約と比べて人件費等のコストの削減にはなりますが、指揮命令関係にないため、発注後に指示を出すことができません。

原則として、請負人は仕事の完成にあたり、自らの責任で下請事業者などへ再委託をすることができます。

 

■委任(民法643条~

委任は、法律行為の遂行を相手方に委託し、相手方がこれを承認することによって成立します。報酬は仕事の成果に関わらず、業務を遂行したことに対して支払われます。

委任は雇用と請負の中間ほどの位置づけになります。

委任契約は、請負契約と同様に人件費等の削減になりますが、求める成果が得られない可能性があり、その場合でも報酬が発生します。

請負契約と異なり、委任は原則として受任者が別の者に重ねて委任することはできません。

また、法律行為ではなく、事務処理などの事実行為を委託することを準委託と呼ぶこともあります。

 

 

■まとめ

 例として、以下のような契約内容があるとします。

 A社社長が新規開発のために、フリーランスであるBさんに新規開発の内容を伝え、それに賛同したBさんと契約締結することとした。

 ・報酬は月30万円とし、当月分を翌月末に支払う

 ・A社社長は、新規開発について知らない部分はBさんに一任するが、開発の方向性や、「ここをこうしてほしい」といった指示を作業の都度行う。

 ・Bさんは、契約期間中はA社社内で、月曜日から木曜日までの週4日、10:0017:00で作業を行う。

 ・作業に必須となるPCは、A社が支給する。

このような場合、雇用契約の締結も考えられますが、実務上では「業務委託契約」という契約が採用されることが多いです。

この「業務委託契約」というのは、法律上の規定はありませんが、請負と委任の要素を含むものとして幅広い企業間の取引に関して締結される契約です。

それぞれのニーズに応じて、様々な内容の契約の内容を締結することができます。

ただし、例えば、ある職場で災害が起きたとき、雇用契約の人は、労災保険の対象になる一方で、業務委託契約や請負契約、委任契約では、その対象にならないなど、対応が異なることになります。したがって、業務委託契約や請負契約、委任契約の人は、労災保険へ特別加入をするなど、自分の身は自分で守る必要があります。

このように、それぞれの形態の特徴をつかみ、契約内容やニーズにあった契約形態の選択が必要です。

 

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