コラム

多様な経費をサポート!「創業助成事業」について中小企業診断士が分かりやすく解説

創業は多くの人にとって大きな挑戦です。しかし、資金調達や事業計画の策定など、創業にはさまざまなハードルが存在します。そんな中、東京都が提供する「創業助成事業」は、これから起業を目指す方々にとって心強い支援となります。この助成事業は、創業を希望する個人や中小企業を対象に必要な経費の一部を助成するもので、対象となるケースが少ない賃借料や人件費に加え、広報費など幅広い経費が対象となります。助成金を活用することで、初期投資の負担を軽減し、事業の立ち上げをスムーズに進めることが可能です。本コラムでは、創業助成事業の概要や成功事例などについて詳しく解説し、これからの起業家にとって有益な情報を提供します。令和7年度の募集スケジュールは今後発表されると思われますので、新たなビジネスのスタートに向けて一歩踏み出すための参考にしていただければ幸いです。

支援事業の目的と概要

東京都の「創業助成事業」は、創業を目指す個人や創業から5年未満の中小企業者を対象に、創業期に必要な経費の一部を助成することを目的としています。この事業は、都内での開業率向上を図るために実施され、新たな雇用創出や地域経済の活性化に寄与することを目指しています。
助成対象となる経費には、賃借料、広告費、人件費、市場調査・分析費などが含まれ、助成限度額は最大400万円(事業費及び人件費は300万円、委託費は100万円)です。助成率は3分の2以内で、交付決定日から最長2年まで支援が受けられます。申請には一定の要件があり、事前に創業支援事業を利用することが求められるなど条件はありますが、幅広い経費の活用が可能です。そのため、創業助成事業は新たなビジネスの立ち上げを支援し、東京都内の産業活力を高める重要な施策となっています。

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<TOKYO創業ステーションHPの内容を基に作成>

4つの申請要件

創業助成事業は、東京都が新たなビジネスの立ち上げを支援するために設けた制度です。申請者には特定の要件があり、経営経験や創業支援事業の利用状況、事業開始のタイミングなどが求められます。これにより、助成金を受け取ることで、創業初期の負担を軽減し、持続可能な事業運営を目指すことが可能になります。

申請要件1:対象事業者
① 都内での創業を具体的に計画している経営経験が5年未満の個人
② 法人登記を行ってから5年未満の法人または開業の届出を行ってから5年未満の個人事業主
③ 法人登記を行ってから5年未満、且つ中小企業の振興のために事業を行うことや中小企業の支援のために設立するなど特定の条件を満たす特定非営利活動法人

申請要件2:指定の創業支援事業の利用
申請者が事前に適切な支援を受けることで、自身のビジネスプランをより具体的かつ実現可能なものにすることです。これにより、助成金が無駄なく効果的に活用され、成功するビジネスの立ち上げにつながることを目指しています。
創業支援事業には、事業計画策定所支援や商店街開業プログラム、アクセラレーションプログラムの受講など18の事業があります。詳しくは以下のリンク先をご確認ください。
https://startup-station.jp/m2/services/sogyokassei/youken/

申請要件3:継続的な事業活動
要件1,2を踏まえ継続的に事業を行っていることなどが3つ目の要件となります。その中では、中小企業者であること、東京都内で事業を実施し納税していること、事業活動が継続的であること、許認可を取得し法令を遵守していること、社会貢献や課題解決を目的とすること、資金計画が健全であること、助成金の支払いに対応できる実行能力があること、事業の継続に不確実性がないことなど12の項目がすべて満たされていることが必要とされます。

申請要件4:事務・コンプライアンス
4つ目の申請要件は主に事務・コンプライアンス関係の要件になります。助成対象期間内の申請事業は、所在地が都内で開業届や納税証明書等の提出・滞納がないこと、創業関係の他助成金との重複がないこと、適切な報告書作成や広報活動への協力、過去5年間に不正がないことなどが求められます。また、特定業態や不適切な事業運営をしていないことが条件です。

活用事例

事例1:資金面の不安を解消し新素材を開発

創業者は、創業のきっかけとして「日本に残したい技術」を胸に前職で開発した環境に優しい新素材を世に広める決意を固めていました。しかし、資金面の不安があり、創業助成金を申請。採択されることで、事業のスタートを切ることができました。
開発した商品は改良を重ね主力商品となり環境負荷を大幅に低減できるようになったことや、再度助成金などを活用し新素材の開発に着手する等、成長を遂げることができました。射出成形により様々な形にデザイン可能になっただけでなく、従来の製品よりも広範囲な用途に対応し、森林保全にも貢献しています。将来、これらの素材は環境問題への対応として注目されることが見込まれています。

事例2:コロナ禍を乗り越えクラウドサービス提供へ事業転換

創業者は創業当初に社内宴会の店選びを手伝う幹事代行サービス会社を立ち上げたものの、コロナ禍の影響でほぼ消滅。資金難に直面しながらも、事業転換をすることを決断しました。事業転換を進めるにあたり、店舗情報を一括管理し、業務効率化を実現するクラウドサービスを創業助成金を活用して開発・提供することに成功しました。
今後は同サービスを発展させていくことをベースに、次世代のインフラを構築していくことを掲げています。そして、将来は世界で勝負できるテクノロジーカンパニーを目指しています。

創業助成事業がつなぐ成功の輪

創業助成事業は、新たな挑戦者たちの夢を現実へと導く重要な橋渡し役を果たしています。しかし、その真の価値は単なる資金提供にとどまりません。この支援を通じて、起業家たちは専門家のアドバイスや、創業支援プログラムなどを通じて同じ志を持つ仲間とのネットワークを得ることができます。これらの無形の資産は、ビジネスの成長と成功に不可欠な要素となるでしょう。
一方で、支援を受ける側もこの機会を最大限に活用する責任があります。自らのビジョンを明確に持ち、継続的な学びと改善の姿勢を保つことが重要です。そして、将来的に自らが成功を収めた際には、次世代の起業家を支援する側に回ることで、この支援の輪を広げていくことができるでしょう。創業助成事業は個々の起業家の成功だけでなく、地域経済の活性化や新たな雇用の創出にも貢献します。この循環を通じて、より豊かで活力ある社会の実現に繋げていきましょう。

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