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物価高や人手不足、賃上げ圧力、インボイス制度対応など、中小企業を取り巻く経営環境は引き続き厳しい状況が続いています。このような中、国としても推進し続けている施策の1つとして生産性向上に向けたデジタル化・DXの推進が挙げられます。2026年度はこれまでのIT導入補助金をさらに発展させた「デジタル化・AI導入補助金2026」が登場し、2026年3月下旬頃から補助金交付申請の受付開始が予定されていることが発表されました。補助率や補助額に大きな変更はありませんが、単なるITツール導入にとどまらず、業務全体のデジタル化の推進やAI活用まで踏み込んだ取組がより求められると考えられますので、補助金のニュースやお知らせを適宜チェックしながら、スムーズな申請・採択に繋げていきましょう。
デジタル化・AI導入補助金の概要
デジタル化・AI導入補助金は、生産性向上に資するITツール(AIを含むソフトウェア、サービス等)を導入する費用の一部を補助し、中小企業・小規模事業者の生産性向上を図る制度です。今年の申請枠も昨年同様に「通常枠」「複数社連携枠」「インボイス枠」「セキュリティ対策推進枠」の4つの申請枠が用意されており、目的に応じて使い分ける必要がありますが、多くの事業者様は通常枠の申請になると考えられます。
通常枠の特に注目すべきポイントとして、通常の補助率は1/2ですが、2/3の補助率を申請する場合は「令和6年10月から令和7年9月の間で3か月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用していた従業員数が全従業員の30%以上であることを示した事業者」が対象になります。つまり、最低賃金の引上げ前に、改定後の最低賃金より低い賃金で働く従業員が3割以上いた月が3か月以上あった事業者が対象ということになりますのでご注意ください。
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2026年版の主な変更点:名称変更、再申請要件、AIツールの明確化
昨年まではIT導入補助金として人気のあった補助金ですが、2026年のポイントは大きく3つです。補助金名称を「デジタル化・AI導入補助金」へ変更し狙いを明確化、過年度採択企業の再申請要件と効果報告を厳格化、AI機能付きツールを検索・表示で判別しやすくなりました。
事務局からお知らせが出ていますので、詳しく知りたい方はそちらもご覧ください。
【デジタル化・AI導入補助金2026】デジタル化・AI導入補助金2026の概要について
補助金名称の変更
「IT導入補助金」から「デジタル化・AI導入補助金」へと名称を改め、ITツール導入にとどまらないデジタル化推進とAI活用の重要性を周知する方針が明確になりました。
2回目以降の申請要件の追加(過年度採択企業)
IT導入補助金2022~2025で交付決定を受けた事業者は、交付申請時点の翌事業年度以降3年間の事業計画の策定・実行と、事業実施効果の報告が申請要件になります。未達や未提出の場合は補助金の全部または一部返還となり得るため注意が必要です。賃上げ関連では、①1人当たり給与支給総額の年平均成長率を「物価安定の目標」+1.5%以上向上、②賃金引上げ計画を従業員に表明、が求められます(適用外の対象は交付規程で整理)。
AI機能を有するツールの明確化
ITツール検索でAIツールの絞り込みが可能になり、AIツールである旨の表示がされます。つまり、補助金上で「AIツール」として扱われるかどうかは、ベンダー(IT導入支援事業者)がそのツールを「AI機能あり」として事務局に登録しているかどうかで決まるということです。AI活用を検討する企業にとって選定がしやすくなる一方、AI機能の扱いは登録内容に基づくため、導入予定ツールの登録状況の確認が重要になります
主な申請フローと、つまずきやすいポイント
申請は「ツール選定→申請→導入→報告」まで一連で設計されており、途中で要件を落とすと返還リスクにつながります
全体像は次の流れです。
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不採択に繫がってしまう、よくあるつまづきの例としては、①ツール導入が目的化して効果指標が曖昧になる、②賃上げ要件を満たす前提の資金繰り・人件費計画が不足する、③導入後の運用が回らず効果報告に耐えられないといったことが挙げられます。採択だけを目的としたその場しのぎの申請書類の整合性だけでなく、「現場でしっかり回る、回すことができる設計」になっているかを最初に点検しておくことが、採択後のリスク低減につながります 。
自社課題やありたい姿とデジタル化・AIをつなぐ
デジタル化・AI導入補助金は、デジタル化とAI活用を今まで以上に進めていきたい国のメッセージが明確になった一方で、過年度採択企業の再申請要件や効果報告の厳格化によって計画未達・報告未提出による返還リスクがより明確になったことがポイントです。過去には1億円以上の深刻な不正受給により大きな問題になったことから、今年も採択までの審査だけでなく、その後の活用状況も含め、しっかりとした実効性のある取り組みが求めらえることは間違いありません。(IT導入補助金、1億円超不正受給 検査院が還流を指摘_日本経済新聞)
補助金は事業者の皆さまにとって事業を加速させるとても役立つ制度ではありますが、補助額・補助率の有利さだけで判断するのではなく、自社の課題やありたい姿を明確にした上で活用を検討していくことが重要です。
補助金・助成金は制度の種類も要件も幅広く、同じ会社でも「今の課題」によって最適な選び方や進め方は変わります。大切なのは、申請して終わりにするのではなく、賃上げや人材育成、設備投資といった取組を、自社の経営方針や現場の実態に合う形で回していくことです。目的(何を改善したいのか)、対象(誰・どの業務に効かせるのか)、計画(いつまでに何を実行するのか)を整理し、実行と効果確認までつなげられると、制度活用は「一時的な資金」ではなく「次の成長への投資」になります。
プラットワークスでは、助成金・補助金の活用に向けた情報整理から、要件に沿った計画づくり、実行後を見据えた運用面の整備まで、実務に即した支援を行っています。活用を検討される際は、お気軽にご相談ください。
助成金・補助金・給付金申請支援 - プラットワークス|社会保険労務士法人プラットワークス|東京都 千代田区 大阪市|社労士法人 社労士事務所
また、すぐに契約というほどではないが「専門家に相談したい」といった、スポット的なアドバイザリーも弊法人では受けております。企業様のご相談のほか、個人の方からの相談についても、元労働基準監督官である弊法人の代表が相談内容を聞き、ご状況を踏まえつつ個別のアドバイスを行います。
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