もくじ
先日、各地で雪が降る中選挙が行われましたが、与党が大勝という形で安定した政権基盤を維持する形になりました。この結果から今後の中小企業向け施策はどうなっていくのか、特に気になる補助金や助成金の影響がどうなるのか気になるところです。
政権が不安定な局面では、どうしても短期的・一時的な給付や対症療法的な支援が増えがちですが、今回のように与党が大きく勝った状況では、「何を目的に、どの分野にお金を出すのか」という政策の軸が長期的目線で取り組んでいくことが予想されます。
補助金・助成金についても、単なる景気対策ではなく中小企業をどう変えていきたいのか、という狙いがより明確に制度に反映されてくると考え私たちも準備した方がよさそうです。
現在の与党の方針
現在の与党である自民党が公開している公式政策文書を見ると、中小企業向け政策の中で注目したいキーワードは「生産性向上」「省力化投資」「賃上げ」の3つです。
ホームページに公開されている令和8年政策BANKによると、中小企業が持続的に賃上げできる環境を整えるために、省力化のための投資促進や価格転嫁の徹底を進める方針が記載されています。
つまり、賃上げそのものを補助するというよりも、設備投資や業務効率化によって稼ぐ力を高め、その結果として賃上げを実現させるという考え方です。
ニュースなどでも高市総理大臣から稼ぐ力を高めるといったワードを聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
何もない中で賃上げだけするというのは難しいですし、健全な経営状況を前提としたうえで賃上げをするというのは妥当な方向性です。
特に100億円を目指す成長志向の中小企業や小規模事業者や大規模投資を考えている企業のような、地域をけん引する企業に対しての支援を促進していくことが挙げられています。

<出典:令和8年政策BANK_自民党>
こうしてみると、補助金・助成金は過去コロナ禍で進められていたような「困っている企業を救うためのもの」ではなく、「変わろうとする企業を後押しするためのもの」として位置づけられていることが分かります。
これは、短期的な選挙対策型の支援ではなく、中期的な視点で投資を促す政策を続けていくというメッセージと考えてよいでしょう。
今回の選挙で与党が2/3の議席を獲得したことで、この方針が大きくぶれる可能性は低くなりました。
今後の補助金・助成金は、「積極的に投資し成長意欲がある企業」「生産性を上げようとする企業」「賃上げに本気で取り組む企業」を選別して後押しする制度が、より一層中心になっていくと考えておくのがよさそうです。
設備投資系補助金が引き続き政策の中心
では、こうした方針を踏まえるとどのような政策が中心になっていくのかと考えると、やはり設備投資系の補助金になります。
ものづくり補助金、省力化補助金、デジタル化・AI導入補助金といった制度は、名前や細かい要件を変えながらも、ここ数年ずっと予算の柱になっています。
注目すべきなのは、今は単純に「設備を買えばいい」という時代では完全になくなっている点です。
最近の補助金では、設備投資そのものよりも、「その投資によって何が変わるのか」が強く問われます。
人手不足がどう改善されるのか、生産性がどう上がるのか、賃上げにつながるのか、といった点が、事業計画の中で説明できないと採択されにくくなっています。
その中でも、今後を見据えると特に注目したいのがデジタル化・AI導入補助金です。
IT導入補助金から名前を変えリニューアルした補助金になりますが、政府としても今後の労働人口減少を見据えDX推進に力を入れていきたいと考えているため、重要な補助金の一つと言えます。

<出典:令和8年政策BANK_自民党>
デジタル化・AI導入補助金については、以前のコラムでも取り上げていますので、そちらもご覧ください。
補助額最大450万円!パソコンやiPadも対象のデジタル化・AI導入補助金について中小企業診断士が分かりやすく解説
助成金も「設備投資+賃上げ」の組み合わせが重要
設備投資というと補助金が注目されがちですが、助成金の世界でも同じ流れが起きています。
業務改善助成金はその代表例で、設備投資と賃上げをセットで行うことが前提になっています。
政府としては今の物価高の中で最低賃金の引き上げや賃上げの流れを止めることはないですし、賃上げをする中で負担をどう中小企業に吸収させるか、という施策に取り組むと考えられます。
その1つの答えとして「設備投資で生産性を上げ、その得た利益により賃上げをする」ことが挙げられます。さらに言うと、生産性向上や賃上げにより従業員の能力やモチベーションを向上させ、さらに利益を生み出しやすい体制をつくるといった、好循環をつくることが求められているのです。
この点で助成金は補助金以上に政策の意図がストレートに出ているのが分かります。
補助金は要件を満たしても審査がありますが、助成金は要件を満たせば受給できる一方で「賃上げをしない」「投資もしない」という企業は、そもそも制度の対象にならない設計になっています。その分、しっかりとした計画をつくり、その計画を確実に実行することが求められます。
なお、「賃上げ」という言葉は資料の中で11ページ中12回出てくるのですが、平均1ページに1回以上出てくる言葉ということを見ても、それだけ賃上げに対する緊急性・重要性が伝わってきますね。
各助成金のポイントについては、以前のコラムでも取り上げていますので、そちらもご覧ください。
業務改善助成金の予算が前年度から20億円アップ!2026年助成金のポイントについて中小企業診断士が分かりやすく解説
自社のあるべき姿に向かう手段として補助金・助成金を活用する
中小企業や小規模事業者の皆さまにとっては、今後は「様子見」よりも「設備投資や賃上げに向けた準備」を早め早めに進めておくと安心です。
生産性向上や省力化投資、価格転嫁を通じて賃上げを続けられる環境づくりが求められる状況は止められないですし、消費者だけでなく労働者や取引先など関係者からも選ばれる企業であり続けないと生き残ることが難しくなります。
そのため、補助金・助成金も現状維持の支援というより、設備投資や業務効率化に取り組む企業を後押しする制度設計が中心になっていく可能性が高いです。DXや省力化で人手不足をどのように改善していくか、どのように付加価値を上げて賃上げを継続していくかといったことを計画に具体的に落とし込み、申請前から実行の準備をしておくことが結果的に制度活用の選択肢を広げる方向につながりそうです。
補助金や助成金のための計画ではなく、自社のあるべき姿を目指すにはどのように進めていくか、その1つの手段として補助金や助成金を活用していきましょう。
補助金・助成金は制度の種類も要件も幅広く、同じ会社でも「今の課題」によって最適な選び方や進め方は変わります。大切なのは、申請して終わりにするのではなく、賃上げや人材育成、設備投資といった取組を、自社の経営方針や現場の実態に合う形で回していくことです。目的(何を改善したいのか)、対象(誰・どの業務に効かせるのか)、計画(いつまでに何を実行するのか)を整理し、実行と効果確認までつなげられると、制度活用は「一時的な資金」ではなく「次の成長への投資」になります。
プラットワークスでは、助成金・補助金の活用に向けた情報整理から、要件に沿った計画づくり、実行後を見据えた運用面の整備まで、実務に即した支援を行っています。活用を検討される際は、お気軽にご相談ください。
助成金・補助金・給付金申請支援 - プラットワークス|社会保険労務士法人プラットワークス|東京都 千代田区 大阪市|社労士法人 社労士事務所
また、すぐに契約というほどではないが「専門家に相談したい」といった、スポット的なアドバイザリーも弊法人では受けております。企業様のご相談のほか、個人の方からの相談についても、元労働基準監督官である弊法人の代表が相談内容を聞き、ご状況を踏まえつつ個別のアドバイスを行います。
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