コラム

【2025年最新版】小規模事業化持続化補助金が新たなステージへ!変更点を中小企業診断士が分かりやすく解説

前回は小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金と呼びます)についての全体像を解説しましたが、2025年度版の情報が公表されましたので、内容や2024年との変更点を分かりやすく解説します。

2025年 持続化補助金の目的と背景

持続化補助金は、これまで新型コロナや経済環境の変化など、様々な困難に直面する事業者様を支援するため、柔軟な補助金制度を作り運用してきました。しかし、それは同時に制度を複雑にすることや、短期的な資金援助の側面が強くなるなど、補助金を活用する本来の意図とは少し異なる方向性が出ていた側面もありました。
そこで、2025年度からは「政策の原点回帰」=「実現性のある経営計画策定を重視し、販路開拓等を支援すること」により、成長意欲のある企業の事業拡大を長期的に支援することが強調して打ち出されました。

2024年との違いと変化

そのような2025年版の背景を踏まえたうえで、2024年版との比較を見てみましょう。

補助金、助成金、小規模事業者持続化補助金、持続化補助金、共同・協業型、賃上げ、補助、補助率、経費、ビジネスコミュニティ
かなり大きく変わったことが分かると思います。その中でも今回注目したいポイントを3つ挙げ、内容を解説します。

① 複数ある特別枠を整理(「卒業枠」「後継者支援枠」が廃止)
今回「卒業枠」と「後継者支援枠」の2つの枠が廃止されました。このことからは、国としても経営計画の策定と実行の質を高めたい意図が見えてきます。複数の特別枠の存在により申請プロセスが複雑化することや、特定の事業者層に偏った特別枠が存在することで、補助金を獲得することが目的になってしまったり、特定の事業者対しする支援の偏りが出ていたりしたことから、今回の見直しに至ったと考えられます。

② 「共同・協業型」「ビジネスコミュニティ型」の新設
廃止される枠がある一方で、「共同・協業型」「ビジネスコミュニティ型」が新設されました。こちらにも国や政府の地域や地方に注目した明確な意図が見えてきます。
「共同・協業型」については、石破政権が掲げる「地方創生2.0」が重点政策とされていることからも分かる通り、地域経済の活性化は喫緊の課題であるため、地域振興機関が主体となることで10事業者以上の小規模事業者が連携して販路開拓を進めることを目的としていると考えられます。
また、「共同・協業型」の補助上限額は最大5,000万円と設定され大規模な取り組みも可能であることから、個々の小規模事業者では実現困難であった事業にも挑戦することができるようになり、規模の経済の実現にもつなげることができるようになることで、競争力の向上や事業拡大のスピードアップを図ることが期待されます。
「ビジネスコミュニティ型」は小規模事業者等が直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ等)や、近年頻発する自然災害等や経済活動の促進を行う、地域の若手経営者等又は女性経営者等のグループによる取組の経費の一部を補助するものです。
このような地域の若手経営者等又は女性経営者等のグループを支援することも地域経済の活性化につながることに加え、若手経営者や女性経営者の成長を促進することが期待できると考えられます。

③ 賃金引上げを「枠」から「特例」に変更(通常枠に上限150万円の上乗せ)
賃金引上げは、2024年度までも「賃金引上げ枠」として運用されていました。今回あえて通常枠の特例として賃金引き上げを設定したことには、賃上げは特別な優先事項であると強調したいのだと考えられます。
通常枠において、幅広く事業者様の申請を促しつつ、高額な上乗せ金額をインセンティブとして設定することで、積極的な賃上げを促していきたい意図が感じられます。
また、賃金引上げ「枠」ではなく「特例」とすることで、今後の環境変化に対応できる余地を残すことができるので、今後柔軟な運用が可能になることができることも良い点です。

小規模事業者の挑戦を支える補助金制度

2025年度の持続化補助金は、事業者の長期的な成長を見据えた新たな制度に進化しました。これまでの短期的な資金支援にとどまらず、実現可能な経営計画に基づく事業拡大を支援する方針が明確になっています。補助金を適切に活用することで、地域の小規模事業者が協力して新たな市場開拓や事業展開を行える環境が整い、競争力を高めるチャンスが広がります。また、企業の成長とともに労働環境改善への取り組みが促進されることが期待されます。これらの改革は、将来を見据えた持続可能な経営の支援を目的としており、地域経済の活性化と企業の成長を実現するための重要なステップです。
現在は将来を予測することが難しい環境ではありますが、そのような環境だからこそ補助金を活用し挑戦をすることで不確実性を乗り越え、事業拡大や競争優位性の確保につなげていきましょう。

社会保険労務士法人プラットワークスでは、多数の企業様に補助金や助成金の支援を行っていることや、自ら補助金や助成金の採択・通過した実績を踏まえ、皆さまの支援をいたします。
また、2025128日(火)に設備投資や事業拡大に向けた補助金を活用するための無料セミナーを実施しますので、ぜひご参加ください。
補助金の情報についても新しい内容が発表され次第、随時更新していきます。

 

 

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