【2026年最新】人材開発支援助成金の活用ガイド~4つのコースの概要・導入メリットについて解説~

前回のコラムでは、日本の教育訓練の歴史を振り返りました。あわせて、個人の学びを支える「教育訓練休暇給付金」についても解説しています。
そこで今回は、事業主向けの支援策である「人材開発支援助成金」に焦点を当てます。
本制度の概要から導入メリット、申請時の注意点まで詳しく確認していきましょう。

人的資本の価値を最大化する『人材開発支援助成金』の全体像

人材開発支援助成金は、従業員への職業訓練を支援する制度です。
職務に必要な専門知識や、技能の習得を目的とした訓練が対象となります。あらかじめ計画を立てて実施すれば、経費や訓練中の賃金が一部助成される仕組みです。

この制度を活用すれば、教育訓練コストを大幅に軽減できるでしょう。 さらにスキルアップした人材が増えることで、現場の生産性も向上します。 つまり人材確保だけでなく、企業全体の成長にもつながる重要な施策といえます。

 

※参考:人材開発支援助成金|厚生労働省

【2026年1月追記あり】人材開発支援助成金の4つのコース

本助成金には、企業のニーズや対象者に合わせて4つのコースが設けられています。

まず支給額についてですが、これらは企業規模や賃金要件(※)により異なります。 そのため、詳細は厚生労働省の案内を必ず確認するようにしましょう。
また、受給には「経費の全額自己負担」が必須要件となる点に注意が必要です。 具体的には、訓練機関への支払いを申請時までに完了させておかなければなりません。 したがって、実質的な負担を減らす金銭の還付等がある場合は、支給対象外となります。

※訓練修了後、受講者の賃金や手当が改定前より3~5%以上上昇している等の条件

 

1)人材育成支援コース

職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練が対象です。
実施により、訓練経費や期間中の賃金の一部が助成されます。 対象となるのは以下の3メニューです。 なお、非正社員を対象とする場合や正社員化を伴う場合は、助成率がさらに上昇します。

①人材育成訓練10時間以上のOFF-JT

②認定実習併用職業訓練:新卒者等のために実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練

③有期実習型訓練:非正規雇用労働者を対象とした正社員化を目指すOJTOFF-JTを組み合わせた訓練

※参考:厚生労働省 人材育成支援コースのご案内

【2026年1月20日追記】中高年齢者実習型訓練が新設
④中高年齢者実習型訓練:45歳以上を対象とするOFF-JTとOJTを組み合わせた訓練

 

2)教育訓練休暇等付与コース

有給の教育訓練休暇制度(3年で5日以上)を導入する企業が対象です。
労働者が休暇を取得して訓練を受けた際、導入経費や賃金の一部が助成されます。 
前回のコラム紹介した給付金は「個人」向けですが、教育訓練休暇等付与コースは「企業」が対象です。

※参考:厚生労働省 教育訓練休暇等付与コースのご案内

3)人への投資促進コース

人への投資を促進するために、民間からの声をもとに令和4年に新設されたコースです。
デジタル人材・高度人材の育成や労働者が自発的に行う訓練等を対象に実施した場合に助成されます。なお、高度デジタル人材訓練」「情報技術分野認定実習併用職業訓練」は、資格取得経費(受験料)も助成対象になります。以下5メニューが対象です。

①高度デジタル人材訓練
高度デジタル人材育成のための訓練や、海外を含む大学院での訓練を行う事業主に対する助成

②情報技術分野認定実習併用職業訓練
IT分野未経験者の即戦力化のための訓練を実施する事業主に対する助成

③定額制訓練
サブスクリプション型の研修サービスを利用する事業主に対する助成

④自発的職業能力開発訓練
労働者が自発的に受講した職業訓練費用を負担する事業主に対する助成

⑤長期教育訓練休暇等制度
働きながら訓練を受講するための休暇制度を導入した事業主に対する助成

長期休暇制度30日以上の長期教育訓練休暇の取得が可能な制度を導入し、実際に適用
短時間勤務等制度30回以上の所定労働時間の短縮および所定外労働時間の免除が可能な制度を導入し、実際に1回以上適用

※参考:厚生労働省 人への投資促進コースのご案内

4)事業展開等リスキリング支援コース

新規事業の立ち上げやDX推進に伴う、新たな分野の技能習得を支援するコースです。
デジタルやグリーン分野など、次世代に必要なスキル習得が対象となります。

【2026年1月15日追記:対象範囲が拡大されます
2026年(令和8年)2月上旬より事業展開等リスキリング支援コースの大きな拡充が予定されています。
これまで助成対象は「新規事業展開やDX推進に伴う配置転換」等に限定されていました。しかし今後は新たに「企業内での人事配置計画に基づき、将来的に従事予定の職務に関連する訓練」も対象に加わります。
これにより、即時の配置転換だけでなく、中長期的なキャリアパスを見据えた先行的な人材育成への助成金活用が可能となる見込みです。
企業の人的資本投資における柔軟性が一段と高まることが期待されます。

※参考:厚生労働省 事業展開等リスキリング支援コースのご案内

 

 

人材育成支援コース

教育訓練休暇等付与コース

人への投資促進コース

事業展開等リスキリングコース

対象者

正規雇用労働者
非正規雇用労働者
有期契約労働者など

正規雇用の労働者

正規雇用労働者
非正規雇用労働者

正規雇用労働者
非正規雇用労働者

助成対象

事業主、事業団体等

事業主

事業主

事業主

賃金助成額

助成額最大960/時間

-


助成額最大960/時間

助成額最大960/時間

経費助成率

助成率最大100%

(メニューにより異なる)

助成額最大36万円

 

助成率最大75%、
長期教育訓練休暇等制度の場合最大24万円

助成率最大75%

 

OJT実施助成額

助成額最大25万円

-

助成額最大25万円
(情報技術分野認定実習併用職業訓練)

-

 

【2026年1月20日追記】設備投資助成が新設

令和8年度概算要求

事業展開等リスキリング支援コースには「設備投資助成」が新設されます。
これは訓練終了後、労働者が訓練によって得た知識及び技能を活用し生産性向上を図ることのできる機器・設備等を購入した場合に助成するもので、中小企業のみが対象となります。

なお、これらの拡充案はこちらはあくまでも「概算要求段階」での情報です。
正式に確定するのは、令和8年4月に制度が施行されるタイミングとなりますのでご注意ください。

最新記事もあわせてチェック:業務改善助成金の予算が前年度から20億円アップ!2026年助成金のポイントについて中小企業診断士が分かりやすく解説

企業成長を促す助成金活用の戦略的メリット

人材開発支援助成金の活用には、経営上の大きなメリットが2点あります。

・費用負担の軽減
従業員に研修や訓練を実施する際のコストを抑えることができ、条件によっては最大100%助成されるコースもあり、少ない経済的負担で人材育成が可能となります。

・生産性の向上

助成金の活用に伴い、従業員の知識・スキルが向上すれば業務が効率化し、生産性が向上します。
生産性が向上することで従業員一人ひとりの負荷が軽減されるため、優秀な人材の獲得や定着にもつなげることができます。

 

助成金申請時の注意点

申請手続きにあたって注意する点としては、以下が挙げられます。

・申請から受給まで時間がかかる
申請手続き開始から助成金受給までには時間がかかることや、経費の支払いにあたっては事業主側で立替をし、後日決定した支給額を受給することになるので注意しましょう。
申請にあたって訓練開始前に計画を作成するなど書類の準備等で多くの時間と労力を要するため、外部の専門機関を活用するとよいでしょう。

・コースによって要件が異なる
人材開発支援助成金のコースによって要件が異なり、年度によって要件が変更されたり、制度の見直しでコースの新設や廃止が行われたりすることもあります。
申請前に実施予定の訓練、研修、講座が助成対象であるか確認するようにしましょう。また、外部の専門機関に相談し、最適なコース選択のアドバイスをうけるのもよいでしょう。

 

今回のコラムでは、人材開発支援助成金の概要と利用における注意点について解説しました。
少子高齢化に伴い人材不足が深刻化し、社会のデジタル化が進んでいる現代において、従業員のスキルアップや生産性を高めていくことは大切です。
今後は労働者・企業ともに主体的な能力開発の機会を確保するよう、給付金制度の活用や、社内の体制整備をしていくことが重要となっていきます。助成金制度は随時新設・廃止、改正がされうるため、こういった制度活用や整備において、最新情報に精通している専門家のサポートを受けるとよいでしょう。

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