厚生労働省は9月30日、ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会に対して、中間とりまとめの骨子案を提示し、従業員の精神状態を調べるストレスチェックについて、全ての企業に対しての実施を義務付ける方針を明らかにしました。
これまでストレスチェックは従業員50人以上の企業において年1回の実施が義務化され、従業員50人未満の事業所については従業員のプライバシーの保護の観点から努力義務となっていましたが、今後は従業員50人未満の事業所も対象となり、全企業で実施が義務化となります。新たに対象となる企業は2021年時点で約364万か所、労働者は2,893万人にのぼります。
経緯としては、近年仕事により心理的ストレスを抱える労働者が増えており、前回のコラムで述べた通り、精神障害による労災の件数は令和5年度に883件と過去最多の件数となっており、働き方改革の一つとして職場のメンタルヘルス対策の強化が必要視されているためです。従業員のプライバシー保護の難しさの観点も、健診機関やEAPなどの外部機関を活用することで対応できる環境が整ったとみて、従業員50人未満の企業も対象となりました。現在、厚生労働省はチェックを受ける労働者のプライバシー保護などについてマニュアルを作成しており、導入は数年後を想定しているとのことです。
ストレスチェックとは
ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査のことです。
「労働安全衛生法」の一部改正により、2015年12月から従業員50人以上の事業所に対して年1回以上の実施と労働基準監督署への報告が義務付けられている検査制度です。実施結果は本人に通知され、「高ストレス」であれば、医師の面接指導をすすめられます。労働者自身のストレスへの気づきを促し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを主な目的としています。
今回の変更にあたっての課題点
通常、ストレスチェックを実施後は労働基準監督署に報告することが義務となっていますが、50人未満の事業所については負担軽減の観点から、報告義務を課さない方向にしています。このような対応をとることで、ストレスチェックの実施をすることだけが形骸化し、実施結果に対して、改善に向けてのフォローが不足してしまうのではないかとの懸念の声があがっています。早期から職場でのメンタルヘルスに関する相談窓口を設置するなど従業員が気軽に相談できる支援体制を構築していくことが重要となります。
なお、弊法人では社員のメンタルヘルス不調を未然に防止する観点から、安全衛生管理体制の構築についてのアドバイザリー業務を行っております。ストレスチェック実施についても必要な情報提供や実施後の措置などについてご案内することが可能ですので、ぜひご活用ください。
健康管理 - 社会保険労務士法人 プラットワークス - 東京都千代田区・大阪市北区の社労士法人 (platworks.jp)
また、弊法人では、「社会保険労務士」と「臨床心理士(公認心理師)」の協同で支援を行う、日本唯一の企業向けオンラインカウンセリングサービスPlattalksを運営しております。職場における心身の健康に不安を感じている従業員にとって、会社に知られることなく相談することで、心の負担を軽くするプラットフォームとして活用いただくことができます。また、Plattalksは、ストレスチェックとカウンセリングを一体的に実施できるアプリであり、メンタルヘルス対策の一元化が可能です。
Plattalksではカウンセラーによる従業員のメンタルヘルスケアを行うだけでなく、相談者の希望に応じて社会保険労務士との連携、相談対応も行っており、働きやすい体制構築に活用することができます。
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