【2028年4月1日施行】ストレスチェック50人未満の企業義務化~施行に向けて企業が今からできること~

2026年518日、厚生労働省の労働政策審議会・安全衛生分科会において、ストレスチェック義務化が新たに決定していた50人未満の事業場への施行日を「202841日」とする方針が示されました。
過去のコラムで述べていた通り、これまでストレスチェックは従業員50人以上の企業において年1回の実施が義務化されていました。
しかし、近年は仕事により心理的ストレスを抱える労働者の増加や精神障害による労災件数の増加など、事業場の規模によらず企業におけるメンタルヘルスの問題が顕著となっています。
これまでは、チェックを受ける労働者のプライバシー保護の観点で50人未満の企業については「努力義務」としていましたが、外部機関の活用により対応が可能とみて「義務化」の対象となりました。そして、その義務化の施行日が202841日に正式に決定しました。
今回のコラムでは、50人未満の事業場におけるストレスチェック制度の実施義務化によって変わることと、2年後の施行に向けて企業にできる準備を解説していきます。

ストレスチェックとは

ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査のことです。
2026年現在は、201512月から従業員50人以上の事業所に対して年1回以上の実施と労働基準監督署への報告が義務付けられている検査制度です。実施結果は本人に通知され、「高ストレス」であれば、医師の面接指導をすすめられます。労働者自身のストレスへの気づきを促し、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐ「一次予防」を主な目的としています。

ストレスチェックの義務化により変わることは?

では、現状の努力義務段階と義務化施行後はどのような違いがあるのでしょうか。
ストレスチェック制度は安全衛生法第66条の10に基づき、事業者に実施が義務付けられている制度です。20255月の安全衛生法の改正に伴い、50人未満の事業場にも実施が義務化される旨が決定しました。これに伴い、50人未満の事業場も年1回のストレスチェックの実施が義務付けられます。日本の事業場のうち、50人未満の事業用は全体の約95.9%を占めるため、この法改正は労働市場においても非常に大きな影響を及ぼします。

労働安全衛生法第66条の10「心理的な負担の程度を把握するための検査等」

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。

ストレスチェック制度に関する主な動き

2014年6月

改正労働安全衛生法 公布

2015年12月

ストレスチェック制度 施行(50人以上義務化)

2025年5月

改正労働安全衛生法公布・50人未満の事業場での実施義務化決定

2026年2月

厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」公表

2028年4月

50人未満事業場への義務化 施行

 

ストレスチェック義務化までに事業場でできること

ストレスチェック制度義務化までに事業場で取り組むべきことは以下があげられます。
また、厚生労働省は50人未満事業場向けに「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しており、参考にしていくとよいでしょう。50人以上の事業場と異なり、プライバシー保護や実効性のある実施体制の整備方法についても詳細に記載しているのが特徴です。 

①実施方針の策定と体制準備
制度の導入にあたって、事業者はその責任者として制度の導入方針を決定し、労働者に方針を表明することが大切です。また、体制の整備にあたって労働者からの意見を聴取する必要があります。

②実施に際して社内ルール(実施・評価方法や記録の保存や情報管理)決定
事業者はストレスチェック制度の運用にあたっての社内ルールを作成、周知します。具体的には実施体制、実施方法、記録の保存、情報管理、情報開示や苦情処理、不利益な取り扱いの防止について定め、労働者に周知することが求められます。
特に50人未満の事業場においては、ストレスチェック結果の通知方法や結果の保存方法等の情報管理について丁寧に説明を行うことが大切です。また、実施者については、労働者のプライバシー保護の観点からも実施者を外部機関に委託することが推奨されます。

③面接指導実施体制の確認整備と就業上の措置
事業者は高ストレス者のうち、面接指導対象者となった労働者から申し出があった場合、面接指導を行う必要があります。安心して労働者が申し出できるように、環境整備をしていくことが求められます。事業者に申し出をする際でも、外部機関を経由して申し出る場合であっても、ストレスチェックの結果は事業者に提供することは想定せず体制を整備します。また、面接の日程調整は対象者が心理的な負担なく受けられること、実施場所についてもプライバシーに配慮して実施することが大切です。

面接結果に基づき、面接を実施した医師から就業上の措置について意見を徴収し、措置の有無や内容を判断します。なお、就業上の措置にあたては、労働者の意見を聴き、労働者の理解を得られるよう努めること、プライバシーに配慮しつつ、管理監督者に対して理解が得られるように必要な説明を行うことが求められます。
また、面接指導は申し出制のため、高ストレス者であっても面接指導を受けない労働者も、放置されることがないように、面接指導以外の相談窓口を案内することが重要です。

④労働者のプライバシー保護
50人未満の事業場においては、ストレスチェック実施にあたっての労働者のプライバシー保護が特に重要です。事業者は個人のストレスチェック結果について、情報を保有している実施者や対象者に対して、提供を強要してはいけません。また、ストレスチェックの結果は健康情報であり「要配慮個人情報」に含まれるため、労働者の事前の同意のない限り提供を受けることはできず、慎重な取り扱いが求められます。

⑤不利益取り扱いの禁止
事業者がストレスチェックや面接指導を受けたことにより把握した労働者の健康状態に基づいて、当該労働者の健康確保に対して必要な範囲を超えて、当該労働者に不利益な取り扱いをしてはいけません。具体的には以下のような対応が不利益な取り扱いに該当します。

・労働者が面接指導の申し出をしたことによる不利益な取り扱い
・ストレスチェック結果のみを理由とした不利益な取り扱い(解雇、退職勧奨など)
・ストレスチェックを受けないことによる不利益な取り扱い

⑥外部委託の検討と自社実施時の留意点
ストレスチェックは、自社で実施することも可能ですが、小規模の事業場では、誰がどのような結果だったか、誰が面接指導を申し出たかが周囲に察知されやすい環境にあります。
もし自社で実施する場合は、実施者の選定、実施、結果の通知方法、面接の申し出勧奨、結果の保存方法にいたるまで、労働者のプライバシー保護や不安を生じさせないよう十分注意して実施する必要があります。

このように50人未満の事業場においては、自社運用時のリスクが高いため、外部委託機関を利用することを推奨します。また、高ストレスの原因として、労働時間やハラスメントなどの労働環境が多いため、ストレスチェックの実施だけにとどまらず、その結果を踏まえて労働環境の整備を行うことも重要です。
そのため、委託先の外部機関を選定する際には、単なるストレスチェックの運用だけでなく、その背景にある安全衛生管理体制についても知見の豊富な労務管理の専門家に委託することで、その後の職場環境の改善につなげることができます。

弊法人では社員のメンタルヘルス不調を未然に防止する観点から、安全衛生管理体制の構築についてのアドバイザリー業務を行っております。ストレスチェック実施についても必要な情報提供や実施後の措置などについてご案内することが可能ですので、ぜひご活用ください。

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なお、弊法人ではストレスチェック単体でのサービスも提供しております。小規模事業場でのストレスチェック実施にあたっての一番の不安要素である、労働者のプライバシー保護の観点でも安全なストレスチェックの実施が可能です。ぜひご活用ください。
Plattalksではカウンセラーによる従業員のメンタルヘルスケアを行うだけでなく、相談者の希望に応じて社会保険労務士との連携、相談対応も行っており、働きやすい体制構築に活用することができます。

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