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ベーシックインカムは、すべての国民に無条件で一定額の現金を給付するという革新的な社会保障制度の構想です。これは単なる経済政策ではなく、「何のために働くのか」「仕事とは何か」といった労働倫理を根本から問い直す概念として注目されています。
生存不安が軽減されれば、人々は生活の為だけに働くのではなく、キャリア形成やライフワークの追求、プロフェッショナリズムの発揮といった「働きがい」に意識を向けやすくなるとされています。ベーシックインカムが導入されれば、企業はもはや賃金だけで人材を惹きつけることが難しくなり、社員が仕事の意味を見失わないよう、企業パーパス(存在意義)や組織の価値観を明確に示す必要が生じます。ウェルビーイングや仕事における幸福を提供できるかどうかが、人材定着の絶対条件となるでしょう。
ベーシックインカムの導入可否に関する議論は、個人にとってはモチベーションや職業観の再構築につながり、企業にとってはCSR(企業の社会的責任)や仕事の美学といった「労働の価値」を再定義する契機にもなります。未来の働き方や経営哲学を考えるうえで、欠かせないテーマです。

