「人は増やせない、しかし仕事は増え続ける」課題に向き合う――役割貢献制度で考える人員配置と仕事の構造

人口減少や高齢化などにより、日本の労働人口は長期的に減少しています。企業からも「人が足りない」という声を聞くことは珍しくありません。採用市場の厳しさや人手不足は確かに社会的な課題でもありますし、採用が難しい業界も少なくないのが実態です。一方で、現場の声を詳しく聞いていくと、「本当に人数が不足しているのか」という点については少し違った側面も見えてきます。
例えば、忙しさを感じている部署でも、業務の分担が明確でなかったり特定の人に業務が集中していたりするケースが見られます。また、新たに人を採用しても業務の整理がされていないために、手持ち無沙汰になってしまうことや、期待していたほど状況が改善しないということもあります。
つまり、企業が感じている「人手不足」は、単純に人数が足りないという問題だけではなく「どの役割を、どの水準で担っているのか」が整理されていないことによって生まれている場合も多いということが言えます。今回は、人員不足の問題を「役割」という視点で整理し、役割貢献制度との関係を踏まえ解説していきます。

人手不足による倒産は過去最多を記録

人手不足は経営に大きな影響を与える課題として長く指摘されてきています。中小企業白書2025によると、人手不足に関連する倒産は2024年に過去最多を記録しました。
こうした状況を受けて、DX化や業務の効率化などに取り組む企業も少なくありません。これらは重要な対策ですが、もう一つ見落とされがちな視点があります。それが「役割の整理」です。誰がどの役割を担うのか、またその役割が組織として十分に機能しているのかが曖昧なままだと、業務改善やDXを進めても仕事の流れが思うように変わらないことがあります。
実際に業務の内容を見ていくと、必ずしも業務量そのものが急激に増えているとは限らないケースも見られます。業務分担が曖昧だったり、役割の境界が不明確だったりすると、確認や相談が増えて仕事の流れが滞ってしまうことがあります。このような状況では単純に人数を増やしても問題が解決するとは限りません。「人が足りないという感覚」の背景には役割整理の不足という構造的な問題が存在していることを認識することが重要です。そして、この構造的な問題を解決する方法の1つに役割貢献制度の考え方があります。

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<出典:中小企業庁「中小企業白書2025」

役割構造を見直すことで仕事の回り方は変わる

役割という視点で組織を見ると、同じ人数の組織であっても、仕事の回り方は大きく変わる可能性があります。例えば、高難度の業務を担う役割に業務が集中している場合、その役割を担う人の負担は大きくなります。一方で、定型業務の役割に余力がある場合には、業務の整理によって負担を分散できることもあります。
また、役割が整理されていない組織では、「優秀な人に仕事が集まる」という現象が起こりやすくなります。これは短期的には業務が回るように見えるかもしれませんが、長期的には業務の属人化や組織の持続性に影響を与える可能性があります。
役割貢献制度では、貢献度マトリクスにより組織の中に存在する役割を明確にし、それぞれの役割に期待される貢献度を整理することができます。これによって、どの役割がどのような仕事を担うべきなのかが明確になり、業務の分担を構造的に見直すことができるようになります。

例えば、役割を貢献度マトリクスにより人員配置構成を整理した図で見てみましょう。以下の図ではどの業務のどの水準の役割が不足しているのかが見えるようになります。図はあくまでイメージですが、業務Bでは1人に業務が集中している可能性があるので、本当に1人で大丈夫なのか確認する必要がありますし、業務分担を検討しないといけないかもしれません。また、業務CではLv3の役割を担う人材が存在していないため、土台の知識経験があるLv1やLv2の人材から役割を担える人材を検討することが見える化されていることが分かります。

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すべての仕事を同じように扱わず優先順位をつける

このように役割構造を整理すると、もう一つ見えてくる視点があります。それが「仕事の優先順位」です。人手不足の中で仕事を回していく際には、すべての業務を同じ重さで扱わないという視点も重要になります。企業の業務には、売上や価値創出に直接つながる業務もあれば、定型的に発生する業務や補助的な業務もあります。しかし、役割が整理されていない組織では、こうした業務の違いが明確にならないまま、すべてが同じように処理されてしまうことがあります。
役割の視点で仕事を整理すると、どの業務が組織の付加価値に直結しているのかが見えやすくなります。

こちらも例を使ってみていきましょう。役割を図のような貢献度マトリクスで整理すると、どの業務にどの水準の役割が配置されているのかが見えてきます。仮に業務Bが売上や価値創出に直結する重要な業務であれば、その業務の高難度役割を担える人材を育成することにリソースを集中するという判断も可能になります。

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人を増やす前に役割構造を見るという視点

人手不足への対応としては、採用やDX化、業務効率化などさまざまな取り組みが進められています。しかし、こうした施策を進める際にも、組織の中で誰がどのような役割を担っているのか、その役割を担う人材はどのくらいいるのかが整理されていなければ、十分な効果を得ることが難しくなる場合があります。
役割貢献制度では、仕事を「人」ではなく「役割」という単位で整理します。どの業務のどの水準の役割を担っているのかを構造的に整理することで、人員配置や業務分担をより合理的に考えることができるようになります。また、人員配置を見直す際に、見直される側の従業員にとっても期待される役割と方向性が可視化されたうえで説明を受けるため、納得感が高まりやすいメリットがあります。
人を増やすことが難しい時代だからこそ、組織の仕事を人数だけで考えるのではなく、役割の構造という視点で見直すことが重要になります。役割を整理することによって、限られた人員の中でも仕事の回り方を改善できる可能性があり、持続的な組織運営につながっていくのです。


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