もくじ
近年、多くの企業が「成果を出し続けながら、従業員のウェルビーイングも守りたい」という難題に直面しています。生産性の向上と人への配慮はどちらも大切ですが、一方を優先するともう一方に歪みが生じるというように、その両立は容易ではありません。
このパラドックスを乗り越える上で注目されているのが、「関係性の質(Quality of Relationship)」という概念です。関係性の質とは、単なる人間関係の良さではなく、組織内における信頼・安心・相互支援といった”心理的基盤”の強度を指します。この基盤の強度は、従業員が力を発揮できる度合を左右し、組織全体の成果にも直結します。
心理学の自己決定理論(過去のコラム参照→自己決定理論が保証するエンゲージメントとハイパフォーマンスを両立させる自律的組織の構築)は、この”関係性”を、自律性や有能感と並ぶ「人が健全に働くための基礎的な心理的欲求」として位置づけています。関係性の質が低いと、どれだけ制度を整えても従業員の内発的動機づけは十分に機能しません。一方で、関係性の質が高まると、心理的安全性が確保され、高いパフォーマンスが持続しやすくなります。
本稿では、自己決定理論の知見を踏まえ、組織の「関係性の質」をどのように高めるのか、心理カウンセリングサービスPlaTTalksが果たす役割をご紹介します。
なぜ「関係性の質」は組織内で維持されにくいのか
ここで言う”関係性の質(=安心して相談したり、本音を話せる状態)”は、多くの組織で欠かせないものとして認識されています。しかし、日々の業務の中でこの状態を維持するのは容易ではありません。これは、個々の努力だけでは保ちづらく、組織・役割・文化といった組織構造の影響が大きいためです。以下では、その背景を整理していきます。
●評価制度と役割期待による相談のしづらさ
評価制度や役割期待が強い組織では、「迷いや弱さを見せると不利になるかもしれない」という心理が働きやすくなります。そのため、相談が後回しになったり、課題が表に出づらくなったりし、関係性の質を支える”安心して話せる状態”が保ちにくくなります。
●管理職への心理的負荷の集中
管理職は業務の指揮や管理に加え、従業員からの相談にも対応することが多い立場です。その結果、心理的支援の質が管理職個人の性格や経験に左右され、関係性の質が揺らぎやすくなります。
●制度では扱いきれない感情領域
制度や規程は業務の運営や業務を進める上で必要ですが、実際の現場で頻繁に生じるのは、日常的な迷いやストレスなどの感情の問題です。制度が整っていてもこうした日々の気がかりを安心して相談できる場がなければ、関係性の質は保ちにくくなります。
このように、関係性の質を安定的に維持するには、誰か1人に任せるのではなく、組織として支える仕組みを整えることが不可欠です。
PlaTTalksができること
こうした課題に対して、プラットワークスでは」「ケアの倫理(過去のコラム参照→ケアの倫理①・ケアの倫理②)」の考え方を取り入れ、心理的基盤の確保を個人任せにしない仕組みとして企業向けオンラインカウンセリングサービスPlaTTalksを提供しています。
PlaTTalksは、社会保険労務士と臨床心理士(公認心理師)が協同する国内唯一のサービスで、従業員の心の負担を軽くする外部相談窓口として活用できます。必要に応じて社会保険労務士との連携、相談対応も行っており、働きやすい体制づくりまで支援します。
①専門家による「質の高い相談対応」
PlaTTalksは、公認心理師・臨床心理士などの専門職が、従業員の不安・葛藤・ストレスに対して、守秘義務と専門倫理に基づいて個別のニーズに合わせて相談対応を行います。一般の相談窓口では、「話を聞くだけ」だったり、担当者の主観的な視点からのアドバイスが行われたりすることがあります。一方、PlaTTalksでは、専門職が心理学的な視点から状況を整理し、不安や葛藤の背景を一緒に整理しながら、相談者が次の一歩を踏み出せるように支援します。こうした質の高い相談対応は、組織の中で関係性の質を安定させる土台となります。
②自律を支える「心理的安全基地」
人が自分で判断したり、新しいことに挑戦したりするためには、「いざというときに相談できる場所がある」という安心感が必要です。PlaTTalksは、日々の不安や迷いを気軽に持ち込める”心理的な安全基地”として働きます。このように立ち止まれる場所があることで、従業員は失敗への不安を抱え込みにくくなり、自律性や創造性を保ちながら仕事に向き合えいやすくなります。制度だけでは支えきれない心の領域が保たれることで、組織の中の関係性の質はより揺らぎにくくなります。
このようにPlaTTalksでは、制度だけでは扱えない不安や葛藤といった心の領域に、専門職が継続的に関わることで、組織の中に安定した心理的支援の仕組みを作り出します。この仕組みによって、関係性の質は長く保たれ、自律的で創造的な働き方を支える土台が構築されます。
PlaTTalksがもたらす組織の成果
PlaTTalksは、個々の悩みを解消するための窓口だけではなく、組織の働き方そのものを整える基盤として機能します。ここでは、その成果を3つの観点から整理します。
①管理職の負担減少
PlaTTalksが心理的な相談を受け止める役割を担うことで、管理職が抱えていた情緒的な負担が軽くなります。また、「聞く・受け止める」という繊細な作業が専門職に移ることで、管理職は本来の業務に集中できるようになります。結果として、管理職自身のストレスも減り、組織運営全体の質が上がることにつながります。
②離職低下と長期的な人材確保
PlaTTalksは、評価から独立した専門職が対応するため、相談しても不利益が生じない仕組みが保証されています。そのため、従業員は不安を抱え込まずに早い段階で共有しやすくなります。その結果、問題が大きくなる前に対処でき、離職のリスクが下がることで、長期的な人材資源の確保につながります。
③協働の円滑化と生産性の向上
PlaTTalksが安心して相談できる環境を整えることで、従業員は抱えている迷いや悩みを早期に整理することができます。それによって、目の前の業務に集中しやすくなり、判断や作業の滞りが減ることで、チームの全体動きが整います。同時に、情報共有の遅れや誤解が減ることで、協働がスムーズになります。結果として、組織全体としての生産性が高まりやすくなります。
PlaTTalksが組織にもたらす成果は、単なる「相談件数の増加」や「メンタルヘルス対応」にとどまりません。管理職の負担減少や、長く働ける人材確保、そして生産性の向上といった、組織の根幹に関わる改善まで及びます。これらの成果は全て、関係性の質を仕組みとして保つことから生まれています。
「関係性の質」を維持向上させるために
本稿において、組織における関係性の質の重要性と、個人の努力だけでは維持が難しい背景を見てきました。PlaTTalksは、こうした構造上の課題に対して、関係性の質を組織の仕組みとして支える基盤をつくります。この基盤が整うことで、組織運営の根幹に関わるメリットが生まれます。
関係性の質は、放っておいて自然に保たれるものではありません。日々の業務の中で揺らぎやすいからこそ、組織的に支える仕組みを整えることが、持続的で創造性を高める働き方を支える鍵となります。
関係性の質を現場で確実に機能させ、生産性の向上とウェルビーイングの両立を支える具体的な手段として、PlaTTalksをご活用いただけます。



