もくじ
プラットワークスでは今夏、自社の組織のエンゲージメント向上および健康経営の一環として、
「ポジティブ心理学」と「いけばな」を掛け合わせた全三回のウェルビーイング研修を実施いたしました。

講師には、日頃より当法人オフィスの空間装飾・装花を手掛け、多大なご尽力をいただいている株式会社Botanicalism代表の松永有加氏をお招きしました。
◆ 株式会社Botanicalism Webサイト: https://botanicalism.jp/
◆ Botanicalism公式note: https://note.com/botanicalism
◆ 講師関連記事: https://sr.platworks.jp/column/5705
なぜ、ウェルビーイングといけばななのか?
心の健康経営において注目を集めるポジティブアプローチ
一見すると意外に思える「いけばな」を用いたアプローチですが、実は組織開発における重要な示唆に富んでいます。
いけばなには、植物の形や器の大きさといった物理的な「制約」が存在します。
この「与えられた制約を受け入れ、いかに自由で創造的な表現を生み出すか」という構造は、
プラットワークスの理念である『働く自由をすべての人に』はもちろん、不確実なビジネス環境におけるプロジェクト運営や組織づくりと非常に深い共通点があります。
研修の3ステップ ~あるものを活かす、引き算の美学~
本研修では、個人やチームの強みを再発見し、組織内の「心理的安全性」を高めるアプローチとして以下のステップで取り組みました。
- 第1回テーマ:【感謝】ポジティブ心理学の講義と、基礎的な生け込みによるマインドフルネスの実践
- 第2回テーマ:【強み】ペアワークを通じ、他者の「強み」を客観的に観察・分析し、花材で表現するセッション
- 第3回テーマ:【心理的安全性】チームで当法人の理念『働く自由をすべての人に』をテーマに、交代で活けながら一つの作品を作り上げる協同ワーク
座学で理論を学び、直後に「いけばな」という身体感覚を伴うワークで即実践する緩急のあるプロセスでは多くの気づきが得られました。
とりわけ大きな収穫となったのは、「他者の承認と協働の意識」「自分の強みの認識と相互フィードバック」、そして「コントロールできない制約の捉え直し」です。

画像:第3回テーマ【心理的安全性】/紙の上に墨で線を描いていくセッション。他者の発想をどう取り入れるか、あるいはチームの中で自分をどう表現していくか。人によってアプローチはさまざま。正解はなく、自由に表現することを体感します。
他者の承認と協働の意識
正解のない表現に取り組む中で、「自分の感覚を信じていいのだ」という自己選択への自信や、考えすぎずにまずは手を動かしてみる姿勢を学びました。自分を信頼できるからこそ、得意な部分を発揮しつつ、不得手な部分は素直に周囲へ助けを求めるという選択も生まれます。
また、「人は意外と自分を見て、評価してくれている」という発見は、自分自身の存在意義を実感させると同時に、周囲への感謝を改めて考えるきっかけとなりました。
日常のなにげない雑談を通じて他者を知ることは、相手の状況を慮るための大切な余白を生み出します。
単に業務上のやり取りをするだけでなく、お互いの価値観や背景を知るからこそ、予期せぬ変化に対しても「信じて任せる」という寛容で前向きな選択肢がチーム内に生まれていくのだと実感しています。

画像:先生のお見本(左)を見ながらまずは基本の型を学びます。それぞれの花には個性があり、自分の技術も至らず、自由に教えを受けられる環境下でも中々理想(見本)通りにとはいきません。
自分の強みの認識と相互フィードバック
自身の「強み」とは、普段から意識せずとも自然に行使できている要素でもあります。
それを自覚して周囲のために活かしていくプロセスは、自分自身の確固たる自己肯定感やウェルビーイング(心の健康)にもつながります。
今回のワークでは単に「自分の強みを知る」だけでなく、お互いの強みを発見し、伝え合うことで、チーム全体のポテンシャルを再発見する機会となりました。
興味深かったのは、自分が認識している強みと周囲が見つけてくれた強みの間にあった「ギャップ」です。
自分にとっては当たり前の振る舞いが、仲間には「場を和ませる安心感」や「毅然としたリーダーシップ」といった予想外の価値として届いている——。こうした他者からの客観的なフィードバックは、一人では気づけない「組織における自身の価値」を教え、自己肯定感を高めてくれます。同時に、他者視点に触れることで多様性への理解も実感を伴う体験へと深まりました。

画像:第2回テーマ【強み】/ペアとなった相手の「強み」を客観的に観察・分析し、いけばなで表現してみるという試み。花材も自由に選んでの実践です。
コントロールできない「制約」の捉え直し
共同制作のワークでは、「他者が活けた枝」や「予期せぬ他者のアプローチ」といった、自分ではコントロールできない要素が次々と加わります。
現代のビジネス環境も同様に、市場の変化や他者の思考など、自分の思い通りにならない制約の連続です。しかし、チーム内に確固たる「相互の信頼関係(心理的安全性)」が存在していれば、不確実な制約は「進行の妨げ」ではなく、「自分一人では決して到達できなかった新しい着想や強み」へと昇華します。
他者の予想外のアクションをただ拒絶するのではなく、それを前提として自らのアプローチを柔軟に重ねていく——。
いけばなのプロセスには、変化の激しい時代に必要な「柔軟性と協働のあり方」が凝縮されていました。

画像:第3回テーマ【心理的安全性】/チームに分かれ、複数人で一つのテーマを表現。一人につき枝物・お花をそれぞれ3本ずつ持ち、順番に活けていく共同作業です。
おわりに ~「働く自由」を支えるチームであるために~
全三回の研修を通じ、チームで働くことの難しさと面白さ、そして多様な価値観を尊重し合うことで生まれる相乗効果を、身をもって実感する貴重な機会となりました。
相手を慮り、信じて任せるための「余白」を持つこと。組織の真の倫理とは、そうした日常の小さな余白にこそ宿るのだと感じています。
「与えられた型や制約を前向きに捉え、その中で最大限の自由と創造性を発揮する」——プラットワークスでは今後も、こうした多角的な学びを日常の業務や組織づくりに還元し、メンバー一人ひとりが自身の強みを存分に発揮できる環境整備に努めてまいります。
松永先生、ありがとうございました。
なお、本記事でご紹介した研修サービスの詳細や導入事例につきましては、Botanicalism様の公式Webサイトをご参照ください。

画像:(左)弊社代表・芳賀と松永氏 研修を終えて (右)研修後に額装していただいたワークとお花を花瓶に活け直していただいたもの
講師プロフィール
松永 有加(Yuka Matsunaga)
株式会社 Botanicalism 代表取締役
フラワーデザイナー/臨床美術士/ポジティブ心理学コンサルタント/マインドフルネス瞑想講師
13歳から華道を学び、高校在学中より生花店にてフロリストとしてのキャリアをスタート。フラワーデザイナーのアシスタント修行を経て、桑沢デザイン研究所(スペースデザイン専攻)在学中より店舗ディスプレイやイベントの空間装飾を中心に活動。
同校卒業後、マスコミ業界でのプロデューサー業を経て、27歳で「Botanicalism」を開業。生花教室の運営およびフラワーデザイナーとしての活動を開始する。
2児の母となった経験から感性の育ちや心理学の学びを深め、2023年に「臨床美術士」、2025年に「マインドフルネス瞑想講師」、2026年に「ポジティブ心理学コンサルタント」の資格を取得。人々のウェルビーイング向上に貢献したいという思いから、子どもから大人まで、感性と知性を横断的に使いながらホリスティックに創造性を育む各種ワークショップを提供している。



