採用を「運」から「設計」へ変える――役割貢献制度で実現する、ミスマッチゼロの要件定義とは?

採用とは本来、新しい仲間が加わり、組織に新しい風が吹くワクワクするはずのイベントです。しかし、経営者の方と採用の話をすると、「求人を出しても応募が来ない」「採用できても、思ったほど活躍しない」「定着せず、また採用からやり直し」という悩みを本当によく聞きます。
しかも最近は「採用コストがどんどん上がっている」「現場が疲弊している」という声も増えてきました。採用は一度失敗すると、会社だけでなく現場の負荷やマネジメントに大きな影響があります。
最近の中途採用に関する調査を見ても、企業の採用意欲自体は高い一方で、採用後のミスマッチや早期離職が一定数発生していることが分かっています。特に目立つのが「仕事内容のミスマッチ」です。
これを見ると、「いい人がいない」というより、「採り方と伝え方がズレている」ケースが多いのではないかと感じます。ここを少し見直すだけで採用の再現性は大きく変わりますので、積極的に取り組んでいきたいところです。

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自社が伸ばせないところを持っている人を採用する

採用の相談で多いのが、「即戦力がほしい」「主体性のある人がいい」「成長意欲がある人がいい」という話です。もちろん、どれも間違いではありませんが、全てを兼ね備えている人は極めて少ないです。
経歴がきれいかどうかを気にする人事担当者の方はいますし、実際に調査でも転職回数を懸念材料として見る採用担当者が多いことが示されている通り、確かに転職回数が多いとまたすぐ辞めてしまうのではないかと思うのは当然です。ただ、そこだけに引っ張られすぎて本来見るべきところが疎かになってしまうのは避けたいところです。
求職者を見る際にはざっくり「人間性」と「スキル」の2つに分けることができますが、自社ならどちらに課題があったら改善できるかも採用の1つのポイントです。自社で人間性を改善する、伸ばす実績や自信があるならスキル重視の採用をすることや、技術指導や研修が充実しているなら人間性重視の採用をするといった、自社で後天的に補えない要素を持っている人を採用する発想です。

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要件定義は「ふわっとした条件」ではなく「任せる仕事の単位」で作る

採用を進める際にはまず「要件定義(=ターゲット)」を決める必要があります。この要件定義で決めるべきなのは、抽象的な能力ではありません。
例えば、

  • 入社して最初に任せる仕事は何か、今会社でお願いしたい仕事は何か

  • どの状態になれば「一人で任せられる」と言えるのか

  • 将来的には、どの業務まで広げたいのか、どのようなキャリアを歩んでほしいのか

といった、かなり具体的な話です。
ここが決まってくると採用基準だけでなく、面接での質問内容や評価ポイントも自然と決めていくことができるようになります。
逆に要件定義が曖昧なままだと、「受け答えが良かった」「なんとなく合いそう」といった個人的な印象評価となってしまい、採用後にズレが生じやすくなります。これが、いわゆる「採ってみたら違った」の正体です。

「期待」ではなく「入社後の現実」を提示する

離職理由として「仕事内容のミスマッチ」が多いというデータは、分かっていても避けられないと考えていました。「求職者と仕事がマッチするかは運次第」なんてことを言う人もいます。
これは、求人段階で仕事内容が十分に伝わっていない、もしくは伝わっているつもりでも受け取り手の解釈がズレている、ということを表しているのではないでしょうか。
求人票でありがちなのは、「成長できる」「裁量がある」「将来は中核人材」といった抽象的な言葉が並ぶことです。これ自体は悪くないのですが、求職者が一番知りたいのはもっと現実的な部分です。だからこそ、面接で必要以上によく見せる求職者と、それを見抜こうとする面接者の不毛なやり取りが発生するのです。
「最初はどんな仕事?」「誰と組む?」「忙しい時期は?」といった情報があるだけで、ミスマッチはかなり減らせます。

そこで役立つのは「貢献度マトリクス」を土台とする「役割貢献制度」です。求職者にはどこまでのスキルがあるのか、会社はどの役割を期待しているのか、そしてその役割に対してどのようなスキルが求められるのかを可視化できるので、お互いのミスマッチが極めて少なくなります。厳密にスキルの有無だけで判断するのではなく、これまでの経験を基に、現時点で足りないスキルがあっても完全に新規の業務でなければ習得可能だろうと判断しやすくなります。

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採用はゴールではなく、役割移行のスタート

「懸念がありつつ採用したが、やはり離職になった」という企業も調査から一定数確認することができます。これは採用後に頑張れば何とかなるという話ではなく、採る前のすり合わせ不足が後から効いてくる、ということです。
役割貢献制度の考え方で採用を考えると、要件定義から経営者が求職者に伝えたいメッセージが明確になり、自社に合った人材にアプローチすることができるようになります。そして前回のコラムのように一気通貫で育成に繋げることができるようになります。3か月でここまで任せる、半年で業務範囲を広げる、1年で難易度や再現性を上げるといった、可視化された透明性のある制度があるだけで、本人の納得感も、現場の育成のしやすさも大きく変わります。

採用が難しい時代だからこそ、媒体選びや手法の工夫よりも前に、役割を言語化して採用を設計することが重要になります。
データが示している「仕事内容のミスマッチ」は、採用の失敗が「人の問題」ではなく、「設計の問題」であることから、しっかり自社の役割の広さと深さを定義し、任せたい役割から要件を作り、採用後は役割移行として運用する。こうすることで採用を「運任せ」から「再現性のある仕組み」へと確実に近づきます。

組織に合った人事制度を実際に機能させるためには、制度設計だけでなく、その運用を支える体制づくりが不可欠です。期待される役割や評価基準、処遇の考え方を明確にし、それらを日常のマネジメントに落とし込む仕組みを整えることで、制度は初めて企業の成長を支える実効性のある仕組みになります。
プラットワークスでは、事業戦略や組織課題に応じた人事制度や株式報酬制度の設計に加え、運用が定着するためのプロセス整備や評価者研修など、実務に密着した支援を提供しています。
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